需給動向 国内

◆牛 肉◆

輸入品推定期末在庫、13万トン台の高水準で推移


 平成27年7月の牛肉需給は、生産量は3万47トン(前年同月比3.7%減)と、全国的な出荷頭数の減少が続く中、4カ月連続で前年同月を下回った。輸入量は、冷凍品が増加したものの、冷蔵品が前年をかなり大きく下回ったことから前年同月をわずかに下回る4万6405トン(同0.8%減)、推定出回り量は前年同月をやや上回る7万6350トン(同4.7%増)となった。推定期末在庫は前月から15トン取り崩し、14万4458トン(同24.9%増)と前年同月を大幅に上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 推定期末在庫の約9割を占める輸入品は、季節的増減を繰り返しながらも、増加基調で推移している。7月は13万3737トン(同31.8%増)と、3カ月連続で13万トンを上回った(図1)。高い在庫水準が続いている要因として、25年2月の米国産牛肉の月齢制限緩和措置(月齢制限を20カ月齢以下から30カ月齢以下に引き上げ)以降、在庫水準が一段階上昇しているほか、日豪EPA締結による豪州産輸入量の増加、一部外食チェーンの業績悪化に起因した出回り量の減少などが挙げられる。

 一方で国産品は、生産量減少による供給不足から前年割れが続いており、1万721トン(同24.3%減)と、前年同月を大幅に下回った。

平成26年度の牛肉自給率、前年度を1ポイント上回り42%に

 平成26年度の牛肉自給率(枝肉重量ベース)は、国内生産量が50万2000トン(前年度比0.8%減)、輸入量が73万8000トン(同3.5%減)、国内消費仕向量が120万9000トン(同2.4%減)となった結果、前年度を1ポイント上回る42%となった。また、国民1人・1年当たりの供給純食料は、前年度より0.1キログラム減少し、5.9キログラム(同2.2%減)となった(図2)。

 牛肉自給率は、昭和50年代まではおおむね70%を上回って推移していた。しかし、食生活の洋風化に伴い食肉需要が増大する中で、輸入量の増加とともに減少し始め、平成3年度の輸入自由化により輸入量が大幅に増加した結果、7年度には30%台にまで落ち込んだ。その後、米国における牛海綿状脳症(BSE)の発生により、15年度に米国産牛肉の輸入停止措置がとられたことで輸入量が急減し、44%まで回復した。以降、18年8月には米国産の輸入停止措置が解除され、25年2月には月齢制限緩和措置がとられたものの、BSE発生前の水準までの輸入量の回復が見られなかったこともあり、40%台前半で推移している。

 なお、飼料自給率を考慮した牛肉自給率は、6年度以降は10〜12%で推移しているが、26年度の飼料自給率が27%と前年度から1ポイント増加したことに伴い、1ポイント増の12%となった。

(畜産需給部 二又 志保)

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