需給動向 海外 |
◆米 国◆
肥育もと牛価格、牛肉価格ともに2カ月連続で前年同月安 |
フィードロットの飼養頭数は増加 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月21日に公表した「Cattle on Feed」によると、2015年7月のフィードロット導入頭数は、前年同月比0.8%減の155万頭となった。主要生産州別に見ると、ネブラスカ州で同4.0%増(39万頭)と前年同月を上回る一方、カンザス州で同1.2%減(40万頭)、テキサス州で同11.0%減(37万頭)と前年同月を下回った。 一方、8月1日時点のフィードロット飼養頭数は、1000万頭と前年同月を2.6%上回った。肥育もと牛や牛肉価格が高値で推移している中で、トウモロコシなどの飼料価格が安価なことから、飼育期間の長期化により、フィードロットの飼養頭数が増加しているものとみられる。 と畜頭数は依然として前年を下回って推移 USDA/NASSが8月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2015年7月の牛と畜頭数は前年同月比4.2%減の249万頭、1頭当たり枝肉重量は同2.4%増の374キログラムとなった(図1)。この結果、同月の牛肉生産量は同2.0%減の92万8000トンにとどまった(図2)。と畜頭数の内訳を見ると、去勢牛や乳用牛が前年を上回っている一方、未経産牛や経産牛が前年より減少しており、良好な放牧環境の下、牛群再構築の動きが継続しているものとみられる。 価格は前年同月を下回る 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2015年8月の肥育もと牛価格(速報値)は、前年同月比1.6%安の100ポンド当たり236米ドル(1キログラム当たり635円:1米ドル=122円)となり、2カ月連続で前年同月を下回った(図3)。肥育もと牛価格が高騰している中で、フィードロットが買い付けを控えていることが原因とみられる。 同月の肥育牛価格(速報値)は、同5.3%安の同150米ドル(同403円)、牛肉のカットアウトバリュー(注)(速報値)は、同6.2%安の同239米ドル(同643円)となり、両価格とも2カ月連続で前年同月を下回った(図4)。 (注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。 輸出量は前年を下回って推移 USDA/ERSが公表している「Monthly US Livestock and Meat Trade」によると、2015年7月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同月比12.7%減の9万1000トンとなった(図5)。 主要輸出先国である日本向けが同23.0%減の2万5000トンに落ち込んだことに加え、メキシコ(同21.8%減)やカナダ(同10.2%減)向けも減少している。USDAは、牛肉生産量の減少による国内の牛肉価格高と、米ドル高で推移する為替相場が要因と分析している。 一方、同月の輸入量は同9.7%増の13万1000トンとなり、依然として増加傾向で推移している。 (調査情報部 平石 康久)
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