需給動向 海外

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2015年7月の鶏肉生産量、輸出量ともかなり増加


鶏肉生産量は引き続き増加

 タイ農業・協同組合省によると、2015年7月の鶏肉生産量は、前年同月比6.0%増の15万644トンとなり、同年1〜7月の累計では、前年同期比7.3%増の104万2818トンとなった(図20)。

 鶏肉生産量は、EUがタイ産生鮮鶏肉(注)の輸入を解禁した2012年以降、堅調な輸出需要を背景に継続的に増加しており、2015年に入っても、前年同月を上回って推移している。

(注)ここでいう「生鮮鶏肉」とは、加熱加工していない鶏肉で、主に、生で加工処理され冷凍したもの
   である。

2015年7月の鶏肉輸出量は日本向けが増加

 2015年7月の鶏肉輸出量は、冷凍鶏肉(カット品)の輸出量は減少したものの、生産量の増加に伴い、冷凍加塩鶏肉および鶏肉調製品それぞれの輸出が好調であったことから、全体では6万1158トン(前年同月比18.8%増)と大幅に増加した(図21)。

 品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品)(HSコード:020714)は1万3788トン(前年同月比4.9%減)とやや減少した。輸出の過半を占める日本向けは、7888トン(同34.7%増)と大幅に増加したものの、近隣国のラオス向け(1833トン、同64.2%減)の大幅減少などが影響している(図22)。

 冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は、輸出の9割以上を占めるEU向けの増加により、5102トン(同15.5%増)と前年同月比と比べ、かなり増加した(図23)。

 鶏肉調製品(HSコード:160232)は、4万2268トン(同29.8%増)と大幅に増加した(図24)。このうち、日本向けが2万3460トン(同53.8%増)と大幅に増加し、EU向けも1万4653トン(同8.9%増)とかなり増加した。

国内生産は生産調整への動き

 養鶏関係者は、6月ごろから供給過多を懸念する現地報道もある中で、今後は生産調整が行われると見込んでいる。

 また、今年は、国内で深刻な干ばつ被害が発生しており、トウモロコシの生産減少による飼料価格の上昇、養鶏農場での水不足など、今後の鶏肉生産に影響が出てくる可能性も示唆されている。

 なお、米国での鳥インフルエンザの発生に伴い、タイは依然として米国から原種鶏の輸入を停止しており、輸入先をフランスやニュージーランドなどに切り替えて対応しているが、このまま米国からの輸入停止状況が続くと、2016年中頃からの鶏肉生産量の減少が危惧されている。

(調査情報部 中島 祥雄)

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