需給動向 海外

◆米 国◆

需給の緩和により鶏肉価格は引き続き安値


鶏肉生産量は増加傾向で推移

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月21日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2015年第2四半期の鶏1羽当たり平均処理時生体重は、飼料穀物価格の下落による飼料多給傾向から、前年同期比2.1%増の2.77キログラムとなった。また、同期の処理羽数は、同2.0%増の21億7742万8000羽となり、この結果、鶏肉生産量は同4.2%増の454万5100トンとなった(図15)。

 USDA/NASSは今後の生産量について、需給緩和によるヒナ導入意欲の減退を理由に、前月時点の予測値を下方修正したものの、第3四半期が前年同期比4.7%増、第4四半期が同4.2%増と依然として高水準と見込んでいる。

 また、USDA/NASSが8月21日に公表した「Cold Storage」によると、生産量の増加に加え、鳥インフルエンザに起因した輸出量の減少により、7月31日時点の鶏肉在庫量は、前年同月比22.1%増の34万8000トンにまで積み上がっている。

鳥インフルエンザの影響で鶏肉輸出量はかなり減少

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が8月6日に公表した「Livestock & Meat Domestic Data」によると、2015年上半期(1〜6月)の鶏肉輸出量は、前年同期比8.7%減の151万6000トンとなった(図16)。この減少要因として、鳥インフルエンザ発生に伴い、中国および韓国が米国産鶏肉の輸入停止措置を講じていること、また、ウクライナ問題を背景に、ロシアが2014年8月から禁輸措置を講じていることが挙げられる。一方、需給の緩和傾向で価格安となったことから、カナダ(前年同期比21.9%増)や香港(同48.9%増)などへの輸出量は増加している。

 USDAは、2015年下半期も輸入停止措置の影響は続くとしており、同期の輸出量を、同3.8%減の158万8000トンと見込んでいる。

鶏肉価格安により消費量は増加

 USDA/ERSが8月27日に公表した「Wholesale Prices」によると、2015年8月の鶏肉卸売価格は、前年同月比17.5%安の1ポンド当たり82.2セント(1キログラム当たり221円:1米ドル=122円)となった。生産増と輸出減から需給が緩和傾向にあることで、2015年3月以降、前年を下回って推移している(図17)。

 USDAは、今後も需給の緩和傾向が続くことから、第3四半期の鶏肉価格を同89〜91セント(同239〜248円)、第4四半期を89〜95セント(同239〜256円)と、低価格帯で推移すると見込んでいる。

 また、鶏肉価格の安値を反映し、2015年の一人当たり年間鶏肉消費量を前年比6.0%増の40キログラムと見込んでいる。

(調査情報部 渡邊 陽介)

元のページに戻る