需給動向 国内 |
平成27年8月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり219円(前年同月比27円高)と、ここ10年間で、8月としては最も高い相場となるなど、依然として高水準で推移した(図9)。 鶏卵の卸売価格は、梅雨入り以降、夏場にかけて、テーブルエッグ、加工・業務筋ともに需要が鈍化し、例年どおりの低下基調で推移していた。 8月前半も横ばいで推移していたが、東京では8日連続で猛暑日を記録するなど、全国的な高温の影響から卵重低下による生産量の減少が見られる中、学校給食再開に向けた手当が活発になったほか、弁当、中食などの加工・業務用向けの引き合いが強まったことを受け、8月後半となってからは日を追うごとに上昇基調となった。 今後については、供給面では、気温の変化による影響はあるものの、採卵用ひなえ付け羽数が増加していることから、一定の生産量が確保されると見込まれる。 一方で需要面では、学校給食が再開する中、年末の最需要期に向け、量販店、加工・業務筋から一定の引き合いが継続すると予想されることから、鶏卵相場は例年どおり、秋から冬にかけて上昇すると考えられる。 平成26年度の鶏卵自給率、引き続き95%と高水準 平成26年度の鶏卵自給率(殻付重量ベース)は、国内生産量が250万2000トン、輸入量が12万9000トン、国内消費仕向量が262万9000トンとなった結果、4年連続で95%となった(図10)。また、鶏卵の国民1人・1年当たりの供給純食料は、前年度をわずかに下回る16.7キログラム(前年度比0.4%減)となった。 畜産物の自給率(重量ベース)が昭和60年度と比較して軒並み低下する中にあって、鶏卵自給率は、40年度が100%(完全自給型)で、その後、約半世紀にわたって90%台後半の水準を維持している。 この自給率の高さは、特に生食を念頭にした日本では、諸外国に比べ極端に賞味期限が短く設定されているという日本独特の文化と、卵の殻が割れやすく、長距離輸送に適さないという点、さらに加工・業務用としての乾燥卵、液卵に対しても、ある程度価格競争力を有することに起因しているところが大きい。 なお、飼料自給率を考慮した鶏卵自給率は、約40年間にわたって10%台前半での推移が続いているが、26年度の飼料自給率が27%と1ポイント増加したことに伴い、2ポイント増の13%となった。 (畜産需給部 小林 智也)
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