需給動向 海外

◆豪州◆

生乳生産、輸出量ともに増加傾向


7月の生乳生産量、前年をやや上回る

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2015年7月の生乳生産量は69万5500キロリットル(71万6400トン相当、前年同月比5.4%増)となり、2015/16年度(7月〜翌6月)の生乳生産は、前年をやや上回る滑り出しとなった(図28)。

 地域別に見ると、干ばつの被害が大きかったクイーンズランド州では同2.0%減となったものの、その他の州では、十分な降雨が得られたことを受けて生乳生産量は軒並み増加した。中でも主産地であるビクトリア州では、45万9700キロリットル(同6.2%増)とかなりの程度増加しており、豪州全体の生乳生産量の増加をけん引している。

6月の乳製品輸出量、生乳生産量の増加を反映して増加

 DAが公表した2015年6月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(図29)。

・脱脂粉乳 2万1595トン(前年同月比43.8%増)

・全粉乳     7751トン(同 6.5%増)

・バター      5459トン(同42.5%増)

・チーズ   1万7494トン(同11.9%増)

 国別輸出実績(注)を見ると、脱脂粉乳は中国向け(5200トン、前年同月比4.1倍)が、全粉乳はスリランカ向け(1500トン、同10.6%増)が増加し、バターは、アラブ首長国連邦(410トン、同6.9倍)や中国(330トン、同2.6倍)など、中東や東アジア向け輸出が増加した。チーズは、これまでに引き続き日本向け(9100トン、同8.8%増)が全体の約半数のシェアを占めているものの、中国やアメリカなど、他国向けの輸出も増加傾向にある。

 いずれの品目も、生乳生産量の増加を反映して輸出量は増加している。豪州産乳製品の中国向け輸出量の増加が目立つが、中国の乳製品輸入量全体を見ると、引き続き低調に推移しており、同国の需要回復にはまだ時間がかかるとみられている。

(注)豪州の月別輸出量統計を抽出(「Global Trade Atlas」)。各品目のHSコードは以下の通り。
   なお、図29で示した分類とは一致していない。

・脱脂粉乳 :040210
・全粉乳   :040221と040229の合計
・バター   :040510
・チーズ   :0406

乳製品国際価格は上昇に転じるも、今後の見通しは不透明

 2015年8月18日に開催された、乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)における1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(図30)。

・脱脂粉乳:1521米ドル
 (約18万円(1米ドル=122円)、前年同期比47.1%安、前回比7.2%高)

・全粉乳:1856米ドル
 (約23万円、同33.8%安、同16.7%高)

・バター:2541米ドル
 (約31万円、同13.6%安、同10.8%高)

・チーズ:2778米ドル
 (約34万円、同19.6%安、同 4.3%高)

 下落を続けていた4品目の取引価格は、いずれも上昇に転じた。しかしながら、専門家は、今回の価格上昇は、フォンテラ社が入札量を減らしたこと(中でも全粉乳は1万8000トン(前回比36%減)と大幅に減少)に伴う一時的なもので、乳製品国際価格が上昇基調に転じたと判断するためには、向こう数カ月の推移を注視する必要があるとしており、今後の見通しは不透明なものとなっている。

乳製品国際価格の低迷により、乳牛輸出頭数が減少

 豪州統計局(ABS)によると、2014/15年度(7月〜翌6月)の豪州の乳牛輸出頭数は、7万3870頭(前年度比20.3%減)となった(図31)。特に年度後半(2015年1〜6月)の累計輸出頭数は2万7054頭(前年同期比46.8%減)と大幅に減少しており、最大の輸出先である中国向けが減少した影響が表れている。

 これについて、現地報道によると、中国では、これまで乳牛を輸入して酪農経営に参画することで、牛乳・乳製品の原料調達を図っていた一部の酪農乳業関連企業が、低調に推移する乳製品国際価格を受け、海外から原料乳製品を直接調達する傾向が高まっているため、としている。

 しかし、DAは、一部の主要乳業メーカーが、中国への乳牛供給基地とするための土地を取得したことを挙げて、長期的には中国への乳牛の輸出頭数は回復が見込まれるとしている。

酪農家の経営展望に、乳製品国際価格の下落が影を落とす

 オランダの農業系金融機関ラボバンクは2015年8月、四半期ごとに実施している、今後の豪州の農業の見通しに対する生産者の意識調査の結果を公表した。

 これによると、経営をめぐる情勢が好転していると感じている生産者の割合は、47%と前回調査時(38%)を上回っており、農業界全般としては楽観的な見通しが広がっている。しかし、酪農業界では、依然として、低迷する乳製品国際価格が酪農家の経営動向に影を落としており、事情が異なるとしている。ただし、豪ドル安で推移する為替相場や、他国に比べ相対的に高い乳価といったプラス要素によって、厳しい経営状態がいくらか相殺されているとしている。

(調査情報部 竹谷 亮佑)

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