需給動向 海外

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生乳の増産基調が続く中、乳価は引き続き低調に推移


2015年6月の生乳出荷量、前年同月比3.1%増

 ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)によると、2015年6月の生乳出荷量(EU28カ国)は、生乳生産がピーク期を過ぎ、減少局面に入ったことから、ほとんどの加盟国で前月を下回ったが、前年同月比3.1%増の1331万トンとなり、4月のクオータ撤廃以降3カ月連続で前年同月を上回った(図25)。また、過去3カ年の6月の平均生乳出荷量との比較では6.3%増となっている。

2015年7月の生乳取引価格、前年同月比18.8%安

 欧州委員会によると、2015年7月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、5年ぶりに30ユーロを割った前月とほぼ同水準で推移し、前年同月比18.8%安の、100キログラム当たり30.03ユーロ(4114円:1ユーロ=137円)となった(図26)。

 主要生産国では、ドイツが前年同月比22.5%安、フランスが同17.7%安となったほか、オランダが同24.1%安と大幅に下落した。

 生乳取引価格は、乳製品国際相場の下落に伴い、11カ月連続で前年同月を下回っているが、生乳出荷量が増産基調で推移していることなどから、さらなる下落も懸念されている。

バターおよび脱脂粉乳の卸売価格は今年最安値を更新

 欧州委員会が9月2日に公表した統計によると、直近(8月24日)の週の平均卸売価格(EU28カ国、100キログラム当たり。以下同じ)は、バターが281.1ユーロ(3万8511円)、脱脂粉乳が同169.0ユーロ(2万3153円)と、いずれも今年最安値を更新した(図27)。

 特に脱脂粉乳の下落が目立ち、公的買入価格の169.8ユーロ(2万3263円)を下回ることとなった。脱脂粉乳の平均卸売価格が170ユーロを下回ったのは2009年以来となる。

 卸売価格の下落に伴い、脱脂粉乳の公的買い入れ(注1)の実施国は7カ国となり、公的在庫量の合計は1万1489トンとなった。民間在庫補助(注2)による在庫量も1万7632トン(2015年6月末時点)となっている。

 バターの公的買い入れはまだ実施されていないが、民間在庫補助による在庫量は7万4955トン(2015年6月末時点)となっている。

 乳製品国際相場が低水準で推移する中で、生乳取引価格同様、バターおよび脱脂粉乳の卸売価格についても、さらなる下落を懸念する見方も強い。

(注1) 各加盟国におけるバターおよび脱脂粉乳の卸売価格が公的買入価格を下回った場合、当該
     国の買入機関が製造業者または取扱業者の申請に基づき同価格で買い入れるもの。

(注2) 民間企業が保管するバターと脱脂粉乳の保管費用の一部を補助するもの。

(調査情報部 大内田 一弘)

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