需給動向 国内

◆牛 肉◆

牛枝肉卸売価格、和牛の高値続く


平成28年1月の牛肉需給は、生産量は2万4257トン(前年同月比6.2%減)と、10カ月連続で前年同月を下回った。品種別に見ると、和牛が1万79トン(同8.9%減)、乳用種が7919トン(同6.0%減)、交雑種が5914トン(同2.4%減)であった。輸入量は、冷蔵品は前年の米国西海岸港湾での物流混乱の反動もあり1万4166トン(同11.2%増)と前年同月をかなり大きく上回ったものの、冷凍品は在庫調整局面に入っているものとみられ、1万3177トン(同35.1%減)と大幅に減少した結果、全体では2万7462トン(同17.0%減)となった。推定出回り量は前年同月をやや下回る5万7475トン(同3.0%減)となり、推定期末在庫は前月から5850トン取り崩し、12万6539トン(同4.1%減)と、26年9月以降、16カ月ぶりに前年割れとなった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

インバウンド需要の増大などが相場高をけん引

このような状況の中、牛枝肉卸売価格は、不需要期とされる年明け以降も、和牛を中心に高値が続いている。2月の東京市場における牛枝肉卸売価格(速報値)を見ると、和牛去勢A−5は、1キログラム当たり2830円(前年同月比16.6%高)、交雑種去勢B−2が同1397円(同2.9%安)、乳用種去勢B−2が同1042円(同7.0%高)となった(図1)。



交雑種については、下位等級を中心に下げに転じているが、和牛については、依然として前年を大幅に上回っており、両者間の価格差が拡大している。

全国的な出荷頭数の減少が続く中、需要の3割を占める家計消費は減少傾向が続いているものの、訪日観光客の増加に伴うインバウンド需要の増大、ふるさと納税返礼品での地方銘柄牛の取扱量増加および堅調な輸出需要などが和牛相場高をけん引しているものとみられる。

平成27年の牛肉輸出量、過去最高の1611トン

平成27年の牛肉輸出量は、1611トン(前年比28.7%増)と過去最高を更新した。国内生産量の約0.5%(和牛生産量に占める割合は約1%)にとどまるが、輸出相手国は、香港やカンボジア、米国、シンガポールなどを中心に、30カ国以上にわたっており、世界的な和食ブームや輸出促進プロモーション、為替の円安基調なども追い風となって、増加傾向が続いている(図2)。



32年に輸出額250億円(4000トン相当)とすることを目標に、国を挙げて輸出振興が図られているが、27年の輸出額は110億円となっており、28年までの中間目標113億円(1800トン相当)到達も間近となっている。

(畜産需給部 二又 志保)


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