需給動向 国内 |
平成28年2月の鶏肉卸売価格、もも肉、むね肉ともに下落 |
平成28年1月の鶏肉需給は、生産量は12万3328トン(前年同月比0.5%減)と前年同月をわずかに下回り、8カ月ぶりに減少となった。一方で、輸入量はブラジル産などの増加により4万8421トン(同11.2%増)と前年同月をかなり大きく上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る16万1831トン(同0.5%増)となり、推定期末在庫は前月から9918トンを積み増して、14万7314トン(同18.3%増)と、前年同月を大幅に上回った(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
このような状況の中、2月の鶏肉卸売価格(速報値)を見ると、もも肉は、最需要期を過ぎて下落基調となり、1キログラム当たり652円(同1.4%安)と前月に比べ38円下落し11カ月ぶりに前年同月を下回った。また、むね肉についても、競合関係にある輸入品の価格下落や在庫の増加などの影響を受け、27年8月以降下げ基調で推移しており、2月は同272円(同17.9%安)と前年同月を大幅に下回った(図6)。
推定期末在庫、17カ月連続で前年同月を上回る
平成28年1月の推定期末在庫は、14万7314トン(前年同月比18.3%増)と17カ月連続で前年同月を上回り、24年11月以来およそ3年ぶりに14万5千トンを超える水準となった。
推定期末在庫の内訳を見ると、輸入品はブラジル産およびタイ産の輸入量の増加から8671トン積み増し、12万3917トン(同13.6%増)となった。また、国産品は需要の低下に伴う凍結回しの増加により、1217トン積み増して2万3397トン(同51.4%増)と在庫水準の増加傾向が顕著となっている(図7)。
鶏肉の推定出回り量は、消費者の低価格志向に対応する商材として牛肉・豚肉に対して価格優位性を有していることもあり、前年同月を上回り推移している。一方、在庫は現地相場安などから輸入業者が輸入しやすい環境が継続していることに加え、国産品も昨年までの相場高を反映した増産意欲の高まりから増加するとみられている。今後も在庫の増加傾向が続き高水準で推移した場合、鶏肉相場への影響を懸念する声もある。
(畜産需給部 小林 智也)
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