需給動向 海外 |
2015年の鶏肉生産量、輸出量とも2年連続の増加 |
鶏肉生産量は引き続き増加
タイ農業・協同組合省によると、2015年12月の鶏肉生産量は、前年同月比9.6%増の15万1718トンとなり、同年の累計では、前年比8.3%増の179万5475トンとなった。(図19)。
鶏肉生産量は、EUがタイ産生鮮鶏肉(注)の輸入を解禁した2012年以降、堅調な輸出需要により、前年同月を上回って推移している。また、2015年中頃から米ドルに対してタイバーツ安で推移する為替もこれを後押ししている。
(注)ここでいう「生鮮鶏肉」とは、加熱加工していない鶏肉で、主に、生で加工処理され冷凍したものである。
2015年の鶏肉輸出量はEU、日本向けともに増加
2015年の鶏肉輸出量は、69万6437トン(前年同月比16.6%増)と大幅に増加し(図20)、冷凍鶏肉(カット品)、冷凍加塩鶏肉および鶏肉調製品のすべてで増加した。
同年の輸出量を品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品、HSコード:020714)は17万1585トン(前年比26.1%増)と大幅に増加した。これは、ラオス向けが3万8482トン(同29.4%減)、EU向け1万3564トン(同28.5%減)と大幅に減少したものの、輸出の過半を占める日本向けが9万4トン(同79.2%増)と大幅に増加したためである(図21)。
冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は、輸出の9割以上を占めるEU向けの増加により、7万8836トン(同26.2%増)と前年と比べ、大幅に増加した(図22)。
鶏肉調製品(HSコード:160232)は、44万6016トン(同11.8%増)とかなり大きく増加した。これは、日本向けが21万8181トン(同20.6%増)と大幅に増加し、EU向けも18万109トン(同3.9%増)とやや増加したためである(図23)。
また、日本では、タイから日本への生鮮鶏肉の輸入再開後、鶏肉調製品の一部が生鮮鶏肉に置き換わったことから、鶏肉調製品の輸入量は、40万6457トン(同1.5%減)とわずかに減少している。しかし、2014年7月、中国での食品の安全性への懸念に関する報道を受けて、鶏肉調製品の輸入先を中国産からタイ産に切り替える動きが進んだことから、タイからの輸入量は、23万3013トン(同18.0%増)と大幅に増加している(図24)。
2016年生産量はわずかに減少するものの輸出は増加
タイの鶏肉産業インテグレーターの話によると、2015年に鳥インフルエンザが米国で発生した以降、代替輸入先としていた英国やフランスでも鳥インフルエンザが発生し、種鶏の確保が一時的に十分でなかったことから、鶏肉生産量は2016年6月から9月にかけて減少し、年間では前年比で1%程度減少すると見込まれている。
一方、輸出量については、同国の鶏肉関係者の多くは、日本国内での需要の高まりなどから、引き続き増加すると見込んでいる。
(調査情報部 中島祥雄)
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