需給動向 海外 |
生乳生産量、減少続く |
1月の生乳生産量、減少続く
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2016年1月の生乳生産量は80万1300キロリットル(82万5300トン相当、前年同月比3.8%減)と、4カ月連続で前年同月を下回った(図28)。
2015/16年度の累計(7月〜翌1月)も626万2600キロリットル(645万500トン相当、前年同期比0.6%減)とわずかに減少した。
これについて、DAが四半期ごとに刊行している「Situation and Outlook」によると、飼料穀物や乾草の調達に係るコストが前年同月比で軒並み上昇基調にあることや、生産者支払乳価が低調であることを受け、一部の酪農家の間では、補助飼料を給与して生産量を増やすインセンティブが失われていることが背景にあるとしている。
DAは、2015/16年度(7月〜翌6月)の生乳生産量の見通しについて、エルニーニョ現象の影響で平年を下回って推移していた降雨量が、今後平年並みまで回復すると見込まれているものの、季節的に生乳生産量のピークを既に過ぎていることから、前年度比1〜2%程度減少すると見込んでいる。
12月の乳製品輸出量、主要品目いずれも減少
DAが公表した2015年12月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(図29)。
・脱脂粉乳 1万9062トン
(前年同月比10.9% 減)
・全粉乳 7355トン(同16.1% 減)
・バター 2731トン(同52.5% 減)
・チーズ 1万2123トン(同10.5% 減)
いずれの品目も、中東や北アフリカ向けの輸出を中心に減少が目立った。品目別に見ると、バターは、増産が続くEUからの輸出の増加により、輸出量が減少したとみられる。その他の品目については、脱脂粉乳と全粉乳は東南アジア各国の需要が、チーズについては日本と中国の需要が堅調であることを受け、バターに比べると輸出量の減少は小幅にとどまった。
乳製品国際価格、低い水準が続く
2016年2月16日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(図30)。
・脱脂粉乳 1762米ドル
(20万円:1米ドル=115円、前年同期比35.8%安 、前回比1.7%安 )
・全粉乳 1890米ドル
(22万円、同42.3%安 、同3.2%安 )
・バター 2834米ドル
(33万円、同25.9%安 、同2.4%安 )
・チーズ 2535米ドル
(29万円、同17.0%安 、同9.7%安 )
いずれの品目も、前回(2月2日開催)結果から下落した。これは、EUの生乳出荷量が増加を続ける中、北アフリカやアジア、中東などの主要な国際市場において乳製品が供給過剰となったことが背景にあるとみられる。
豪州最大手乳業メーカー、乳価維持の見通しを発表
豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン社は2月29日、2015/16年度上期(7〜12月)の業績速報を公表した。その中で同社は、2015/16年度の生産者支払乳価について、現状(乳固形分1キログラム当たり5.60豪ドル(465円:1豪ドル=83円))を維持する方針であることを示した。これは、上半期の売上総額が13億8000万豪ドル(1145億4000万円)と前年同期比3.7%増であったことや、豪州南部の主要な酪農地域で当初見込み通りの集乳量を得られたことなどが背景にあるとみられる。
売上額を部門別に見ると、産業向け原料素材部門については、国際市場の価格低迷を受け、5億1700万豪ドル(429億1000万円、前年同期比13.0%減)とかなり大きく減少したが、消費者向け乳製品部門については、国内外の需要の高まりを受け、6億9470万豪ドル(576億6000万円、同27.2%増)と大幅に増加している。これについて同社は、原料素材部門の国際価格が低迷を続ける中、消費者向け乳製品部門の売上増加により、好調な業績を維持することができたとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)
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