需給動向 海外 |
続く生乳出荷量の増加、乳価は4カ月ぶり30ユーロ割れ |
2015年の生乳出荷量はオランダとアイルランドで大幅に増加
欧州委員会によると、2015年12月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比4.9%増の1243万トンとなり、2015年実績は、前年比2.2%増の1億5163万トンとなった(図25)。
生乳出荷量は、同年4月にクオータが撤廃されて以降9カ月連続で前年同月を上回って推移し、4月から12月の合計では、前年同期比3.3%増となっている。
2015年実績を加盟国別に見ると、オランダとアイルランドが大きく増やした。前年からの増加量は、オランダが最大の85万トン増で1333万トン(前年比6.8%増)となった。次いで、アイルランドが77万トン増の659万トン(同13.3%増(加盟国最大の伸び率))となった。そのほかの主要生乳生産国の実績は、最大の生乳生産国であるドイツが同1.6%増の3188万トン、フランスが同0.2%増の2535万トン、英国が同2.5%増の1519万トンとなった。
生乳取引価格は17カ月連続前年割れ
欧州委員会によると、2016年1月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比6.7%安の100キログラム当たり29.61ユーロ(1キログラム当たり37.31円:1ユーロ=126円)となり、4カ月ぶりに30ユーロを下回った(図26)。
同価格は、生乳出荷量が増加基調にある中、長らく低迷しており、17カ月連続で前年同月を下回っている。
バターおよび脱脂粉乳の卸売価格の低迷続く
欧州委員会が3月9日に公表した統計によると、直近(2月29日)の週の乳製品平均卸売価格(EU28カ国、100キログラム当たり。以下同じ)は、バターが258.7ユーロ(3万2596円)、脱脂粉乳が同155.9ユーロ(1万9643円)となった(図27)。
特に脱脂粉乳については、2015年8月に公的買入価格の169.8ユーロ(2万1395円)を2009年以来6年ぶりに下回り、公的買入の実施などによりいったんは持ち直したものの、2016年1月4日の週以降は再び公的買入価格を下回る状況が続いている。
乳製品に対する支援として、欧州委員会は、公的買い入れと民間在庫補助を実施しているが、欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当委員は現在の状況を“危機的状況”とコメントし、昨年9月の緊急支援策の中で生産者のキャッシュフロー対策として措置した直接支払の前倒し実施を徹底するよう各国に求めている。
(調査情報部 大内田 一弘)
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