需給動向 海外

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豚肉生産量は増加基調、続く豚価の低迷


2015年の豚枝肉生産量はスペインとイタリアで大幅増加

欧州委員会によると、2015年12月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比0.9%減の194万トンとなり、2015年実績は、前年比3.6%増の2294万トンとなった(図11)。





2015年実績を加盟国別に見ると、スペインとイタリアが大きく増やしており、EU全体の増産につながった。前年からの増加量は、スペインが最大の28万トン増で390万トン(前年比7.6%増)となった。次いで、イタリアが16万トン増で149万トン(同11.9%増)となった。そのほかの主要豚肉生産国の実績は、最大の豚肉生産国であるドイツが同1.0%増の556万トン、フランスが同1.2%増の197万トン、ポーランドが同3.7%増の191万トンとなった。

2015年の豚枝肉卸売価格は前年1割安

欧州委員会によると、2016年1月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比2.1%安の100キログラム当たり127.45ユーロ(1万6059円:1ユーロ=126円)と28カ月連続で前年同月を下回った(図12)。



同年1月には、民間在庫補助(PSA)が実施され、欧州委員会は価格の下落に歯止めをかけたとしたものの、豚枝肉生産量が増産基調にある中、同価格は、長らく低迷している。2015年の平均は、前年比10.8%安の同139.56ユーロ(1万7585円)となった。

豚飼養頭数、スペインがEU最大に

欧州委員会は3月3日、2015年12月時点の豚飼養頭数(EU28カ国)を公表した。EU28カ国の総飼養頭数は、前年比0.4%増の1億4894万頭と前年並みであった。内訳を見ると、母豚がわずかに減少(同1.8%減)しているものの、生体重20〜50キログラム未満の子豚は同1.0%増、生体重50キログラム以上の肥育豚も同1.0%増とそれぞれわずかに増加している。

また、国別では、スペインは前年比6.8%増となる2837万頭(EU全体に占める割合は19.0%)となり、同2.8%減の2754万頭(同18.5%)に減少したドイツを抜いて、EU最大の豚飼養頭数となった(図13、表5)。









スペインとドイツは、欧州の2大豚肉生産国であるが、その養豚生産構造は大きく異なり、スペインの繁殖母豚頭数が247万頭であるのに対し、ドイツは197万頭と少ない。一方、肥育豚頭数(50キログラム以上)は、スペインの1136万頭に対し、ドイツは1196万頭と多く、これは、ドイツの養豚が多数の肥育もと豚をデンマークやオランダなどから輸入していることによる。このため、豚肉生産量でドイツがEU最大の生産国となっている。

なお、日本の豚肉の輸入先国としてEU最大であるデンマークの総飼養頭数は前年並み(前年比0.1%減)となった。子豚の飼養頭数は同2.8%増と増加しているものの、肥育豚は同1.7%減と減少しており、これは、ドイツやポーランドなどへの子豚の生体輸出が多かったことによる。

(調査情報部 大内田 一弘)


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