需給動向 国内

◆豚 肉◆

スペイン産の輸入量、増加続く


平成28年1月の豚肉需給は、生産量は7万4890トン(前年同月比0.5%増)と前年同月を4カ月連続で上回った。輸入量は7万3388トン(同36.1%増)と、前年の米国西海岸港湾での物流混乱の反動により前年同月を大幅に上回った。このうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、2万8475トン(同49.7%増)と8カ月連続で前年同月を上回って推移している。また、冷凍品は4万4913トン(同28.7%増)と前年に在庫調整を行うために輸入量を減らした反動もあり、3カ月連続で前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る13万4133トン(同1.1%増)となり、推定期末在庫は前月から1万4130トン積み増し、16万8107トン(同9.0%減)と、前年同月をかなりの程度下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

冷蔵品、カナダ産のシェア拡大続く

平成27年の冷蔵品輸入量は32万1985トン(前年比7.4%増)と、北米において豚流行性下痢(以下「PED」という)の沈静化に伴う増産基調から現地相場安となり、輸入業者が買い付けを増加させた結果、前年をかなりの程度上回った(図3)。



国別に見てみると、冷蔵品の
9割以上は米国とカナダから輸入されており、近年は米国産のシェアがやや減少傾向、カナダ産が増加傾向にある。27年についても米国産のシェアが前年比4ポイント減の58%、カナダ産が同4ポイント増の38%となった

冷凍品、スペイン産が定着へ

一方、冷凍品についてはEUや北米を中心に多くの国々から輸入している(図4)。



平成27年は46万7881トン(前年比11.5%減)と、輸入量が多かった前年の反動もあり、前年をかなり大きく下回った。こうした中、スペイン産は7万3895トン(同12.9%増)と増加傾向が続いている(図
5)。



スペイン産豚肉は25年ごろから増加したものの、当初は肉質などの問題から日本のマーケットに定着するかどうか疑問視されていた。しかしながら、27年は輸入量が米国産を抜いて第2位になるなど、一定程度定着しているものと思われる。さらに28年1月はデンマークの9868トンに迫る9023トンと過去最高を更新しており、豚肉の需要が大きく増えるとは考えにくいものの、スペイン産は増加傾向が続く可能性も十分考えられる。

また、数量は少ないものの、食肉加工メーカーによるブランド開発などもあり、オランダ、ハンガリー、ドイツ、イタリアなどのEU諸国やメキシコなども徐々にシェアを伸ばしている。昨今、PEDの流行・沈静化、ロシア問題など国際的な豚肉需給動向が大きく変化したことから、消費期限の長い冷凍品については、より安定的な調達に向けて輸入先国を分散させる動きが続いている。新たな産地の開拓や変更など、今後の動向に注視していく必要がある。

(畜産需給部 山口 真功)


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