需給動向 海外

◆米 国◆

と畜頭数および平均枝肉重量ともに前年を上回る


肥育期間の長期化傾向が継続

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月24日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年2月の牛のと畜頭数は、と畜日が前年よりも1日多かったことなどから、前年同月比5.5%増の229万頭となった。

また、平均枝肉重量は、同1.1%増の376キログラムとなった(図1)。USDAは、飼料穀物価格が安値で推移する中、肥育もと牛価格が比較的高値であったことによる肥育期間の長期化などを平均枝肉重量の増加要因として挙げている。



この結果、同月の牛肉生産量は、同6.6%増の85万5000トンとなった(図2)。



肥育もと牛価格は前年を大幅に下回る

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が3月29日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年3月の肥育もと牛価格は、供給頭数の増加などにより、前年同月比29.1%安の100ポンド当たり180米ドル(1キログラム当たり452円:1米ドル=114円)と、記録的な高値となった前年同月の水準を大幅に下回ったものの、依然高い水準である(図3)。また、肥育牛価格は、同16.2%安の同137米ドル(同344円)となった。



供給量増加により牛肉価格は下落

USDA/ERSが3月29日に公表した「Wholesale Prices」によると、2016年3月の牛肉卸売価格(注)は、前年同月比10.3%安の100ポンド当たり222米ドル(1キログラム当たり558円)となった。この要因についてUSDAは、食肉全般の国内供給量の増加を挙げている。また、同月16日公表の「Summary of retail prices and price spreads」によれば、同年2月の小売価格は、卸売価格の下落に伴い同4.5%安の1ポンド当たり598.6米セント(同1504円)となった。

(注) チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー。カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

生体牛の輸入頭数は大幅減

USDA/ERSが3月7日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年1月の生体牛輸入頭数は、前年同月比23.1%減の10万4000頭となった(図4)。特に、肥育もと牛向けとされる400〜700ポンド(181〜318キログラム)の牛が、メキシコ産(前年同月比26.5%減)およびカナダ産(同50.2%減)ともに大幅に減少した。この要因についてUSDAは、米国内の肥育もと牛価格が下落したことで、両国から肥育もと牛を輸入する優位性が低下したことを挙げている。メキシコおよびカナダともに国内の生産基盤がタイトであることから、2月以降も米国向け生体牛輸出は減少するとみられている。



また、同月の牛肉輸出量は、国内生産の増加とそれに伴う価格下落により、同7.4%増の7万9000トンとなった。USDAは、今後も米国の牛肉生産量が増加見込みであることに加え、豪州の牛肉生産量の減少が見込まれることから、2016年の牛肉輸出量は2015年を上回ると見込んでいる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


元のページに戻る