需給動向 国内 |
平成28年2月の家計消費量、5カ月連続で前年同月を上回る |
平成28年2月の鶏肉需給は、生産量は12万3631トン(前年同月比4.1%増)と前年同月をやや上回り、2カ月ぶりの増加となった。輸入量はブラジル産などの増加により4万7444トン(同15.3%増)と2カ月連続で前年同月をかなり大きく上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る16万1410トン(同0.6%増)となり、推定期末在庫は前月から9665トンを積み増して、15万6979トン(同26.6%増)と、前年同月を大幅に上回った(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
2月の総務省の「家計調査報告」によると、鶏肉消費量の約4割を占める家計消費において、全国一人1カ月当たりの鶏肉購入数量は437グラム(同3.1%増)と好調な消費を背景に5カ月連続で前年同月を上回り推移している。また、支出金額も431円(同5.9%増)と近年の相場高を反映し、35カ月連続で前年同月を上回っている(図6)。
しかし、3月の鶏肉卸売価格(速報)は、もも肉が1キログラム当たり637円(同2.5%安)、むね肉が同263円(同22.3%安)と前年同月を下回り、下落基調となっているため、今後、大型連休を控え行楽需要などに期待する声も聞かれる。
鶏肉および鶏肉調製品輸入量、タイ産の割合が増加傾向
平成28年2月の鶏肉輸入量は、4万7444トン(前年同月比15.3%増)となった。国別に見ると、ブラジル産は3万8822トン(同13.8%増)と全輸入量の約8割を占める一方で、タイ産は7039トン(同24.3%増)と約2割を占めた(図7)。
タイ産の輸入量は、25年12月の輸入再開以来、順調に増えている。規格の正確性を求める業務筋から高い評価を得ているため、今後も一定程度のシェアを占めるものと考えられる。
また、同月の鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなど)の輸入量は、2万9140トン(同0.1%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。国別に見ると、タイ産は1万9339トン(同22.6%増)と大幅に増加した一方で、中国産が9644トン(同27.1%減)と大幅に減少した。26年7月の中国産「消費期限切れ鶏肉」問題発生以降、タイ産への移行が進んでおり、全輸入量の約7割を占めている(図8)。
既報(本誌4月号海外情報)のとおり、タイの鶏肉関係者の多くは、日本国内での需要の高まりなどから、日本への輸出量は引き続き増加すると見込んでおり、今後の動向が注目される。
(畜産需給部 小林 智也)
元のページに戻る