需給動向 海外

◆米国◆

生乳生産量は26カ月連続で前年を上回る


うるう年の影響を除いた生乳生産量は1.0%増

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月18日に公表した「Milk Production」によると、2016年2月の生乳生産量は、766万8000トン(同4.6%増)とやや増加した(図15)。うるう年の影響を除くと同1.0%増である。同月の乳用経産牛の飼養頭数は、前年同月並の931万2000頭となった。一方、1頭当たり月間平均乳量は、前年同月比4.5%増の823キログラムとなった。1日当たりでは同1.0%程度の増加である。



州別に見ると、最大の生産州であるカリフォルニア州は、干ばつの影響が残っていることなどから同0.5%増の149万7000トンと微増にとどまった。また、全米2位のウィスコンシン州は、好天に恵まれたことから同8.9%増の108万トンと好調を維持している。

乳価は供給増で下落傾向

USDA/NASSが3月30日に公表した「Agricultural Prices」によると、2016年2月の全国平均乳価は、前年同月比6.5%安の100ポンド当たり15.7米ドル(1キログラム当たり39.5円:1米ドル=114円)となった(図16)。生産量の増加や国際的な乳製品需給の緩和により、前年同月比では2014年12月以降、前月比でも2015年12月以降、安値で推移している。



チーズの生産が好調を維持

USDA/NASSが3月3日に公表した「Dairy Products」によると、2016年1月のチーズの生産量は、チーズの生産が盛んなウィスコンシン州などでの好調な生乳生産や外食を中心とした強い国内需要などから、前年同月比2.6%増の45万5000トンとなった(図17)。



一方、バターの生産量は、チーズの増産に押され、同2.1%減の8万トンとなった。また、脱脂粉乳の生産量は、同17.4%減の6万2000トンと減少傾向で推移している。

また、3月22日に公表した「Cold Storage」によると、2月末日時点のチーズの在庫量は、生産量の増加や輸出の減少により同10.8%増の53万6000トンとなった。また、同時点のバターの在庫量は、同31.5%増の10万7000トンと、前年を大幅に上回った。

強い国内需要も、チーズ価格は下落

米国農務省農業販売促進局(USDA/AMS)によると、2016年2月のチーズの価格は、高い在庫水準により、前年同月比2.4%安の1ポンド当たり177.5米セント(1キログラム当たり446円)となり、15カ月連続で前年を下回っている(図18)。今後の価格見通しについてUSDAは、旺盛な需要が引き続き見込まれるものの、生産量および輸入量の増加と輸出量の減少で在庫も潤沢とみられることから、低水準で推移するとしている。



(調査情報部 渡邊 陽介)


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