需給動向 海外

◆カナダ◆

2015年の豚肉生産量は前年比4.5%増


豚飼養頭数は増加傾向で推移

カナダ統計局(Statistics Canada)が3月3日に公表した「Hog Statistics」によると、2016年1月1日現在の豚の飼養頭数は、前年比0.7%増の1326万頭となった(表3)。州別に見ると、最も飼養頭数が多いケベック州は同0.4%増、次いで多いオンタリオ州は同1.8%増となった。また、サスカチュワン州(前年比0.9%増)、アルバータ州(同1.7%増)なども増加した。



飼養頭数のうち繁殖豚は123万8000頭(同1.6%増)となった。これについて業界関係者は、米ドルに対してカナダドル安となった為替相場により米国向け輸出の収益性が増したことから、生産者の増頭意欲が高まったことによるとみている。一方、肥育豚は1202万2000頭(同0.6%増)と、と畜頭数および生体輸出頭数の増加により、繁殖豚ほどの伸びは見られなかった。

と畜頭数および平均枝肉重量ともに増加

2015年の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、前年比4.5%増の200万トン(速報値)となった(図10)。同年の豚と畜頭数は、国内外からの需要増を受けて、同4.2%増の2118万6000頭となった。また、平均枝肉重量は、飼料穀物価格安の影響から同1.0%増の100.4キログラムとなった。



豚肉生産量は、2016年に入っても増加しており、1月には前年同月比3.6%増の17万1000トン(速報値)となった。

米国向け輸出が好調

2015年の豚肉輸出量は、前年比1.5%増の89万3000トンとなった(図11)。輸出先国別に見ると、最大の輸出先である米国向けが同10.0%増となったほか、日本(同13.9%増)、メキシコ(同31.1%増)向けも増加した。農畜産物の禁輸措置により輸出できないロシア向けの減少を、これらの国々への輸出増で相殺する形となった。



また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2015年の米国への生体豚の輸出頭数は、前年比16.1%増の574万1000頭と前年を大幅に上回った。2015年12月18日に米国の原産地表示規則(COOL)から牛肉および豚肉が除外されたが、これを見越して引き合いが高まったことに加え、カナダドル安も追い風となったことが、増加の要因として挙げられる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


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