需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成28年2月の豚肉生産量、前年同月比6.6%増加


平成28年2月の豚肉需給は、生産量は前年同月をかなりの程度上回る7万4808トン(前年同月比6.6%増)となり、輸入量は6万3584トン(同17.8%増)と、前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は、前年同月をかなりの程度上回る13万8202トン(同6.8%増)となり、推定期末在庫は前月並みの16万8263トン(同6.2%減)となったが、前年同月をかなりの程度下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

2月の推定期末在庫は前月並み

供給面では、生産量は、本年がうるう年であり2月のと畜場稼働日数が多かったことに加え、前年が豚流行性下痢(PED)の影響を受け低水準だった反動から前年同月比6.6%の増加となった。輸入量のうち、主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、前年の米国西海岸港湾における物流混乱の反動もあり、2万6986トン(同31.1%増)と大幅に増加し、9カ月連続で前年同月を上回った。また、主に加工原料向けとなる冷凍品も、前年が在庫調整の局面にあり輸入量が少なかった反動から、3万6597トン(同9.6%増)とかなりの程度増加し、こちらも4カ月連続で前年同月を上回った。一方で、需要面を見ると、推定出回り量は、前年同月をかなりの程度上回る13万8202トン(同6.8%増)となった。昨年世界保健機関(WHO)が公表した食肉加工品の発がん性リスクに関する報道の影響により、消費が減退し供給過剰に陥ることが懸念されたが、牛肉高などから豚肉の需要は落ち込まなかったと見られ、供給が増加しても2月の推定期末在庫は前月並みとなった。

全国一人1カ月当たりの豚肉購入数量、年度を通して高水準で推移

このような状況の中、2月は1キログラム当たり526円であった豚枝肉卸売価格は、3月には同492円(前年同月比14.6%安)となった(図4)。前月を34円、前年同月を84円下回ったものの、例年と比較しても堅調に推移している。今冬は平均気温が平年を上回る全国的な暖冬となり、3月には月平均気温が統計史上最高を更新した地点が複数あった。このため、ばらを中心とした鍋物需要が盛り上がりに欠ける中、需要は例年より早く焼き材などにシフトしたと言われている。



総務省が公表している「家計調査報告」を基に算出した、全国一人1カ月当たりの豚肉購入数量を見ると、27年度は2月まで毎月、過去5年間のうち最も多くなっている(図5)。牛肉高により豚肉の需要が高まっていることも一因であるが、家庭における豚肉需要は極めて堅調といえる。農林水産省が公表している肉豚生産出荷予測によると、28年4〜6月の全国出荷予測頭数は前年を上回り、生産量も増加すると見込まれる。今後も堅調な豚肉消費が継続し、需要と供給のバランスが保たれることが期待される。



(畜産需給部 三田 修司)


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