需給動向 海外 |
◆米 国◆
肥育豚価格の下落により、生産者の増頭意欲は減退 |
離乳子豚頭数は前年同期を0.2%下回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月25日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、3月1日現在の豚飼養頭数は、前年比0.4%増の6764万4000頭となった(表2)。このうち、肥育豚は6166万4000頭と前年をわずかに上回った一方、繁殖豚は前年並みの598万頭となった。また、肥育豚頭数を重量カテゴリ別に見ると、50ポンド以上がいずれも前年を上回った一方、最も若齢な50ポンド未満は前年を下回った。
この背景としては、供給増により肥育豚価格が下落傾向で推移しているため、生産者の増頭意欲に歯止めがかかっていることが挙げられる。2015年12月〜2016年2月の離乳子豚頭数を見ると、2958万2000頭(前年同期比0.2%減)と前年を下回る水準となった。また、同期の1腹当たりの離乳子豚頭数も、史上最高を記録した前四半期(2015年9〜11月)の10.53頭をわずかに下回る10.30頭(同0.7%増)となった。
と畜時平均体重は前年を下回って推移
USDA/NASSが3月24日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年2月の豚のと畜頭数は、と畜日の増加により前年同月比3.9%増の942万8000頭となった一方、と畜時平均体重は、同0.7%減の128.4キログラムとなり、2015年4月以降前年を下回って推移している。この結果、同月の豚肉生産量は同2.8%増の90万7000トンとなった(図8)。ただし、同月はうるう年によりと畜日が多かったことを考慮すると実質では同2.0%減となる。
USDAは、2015年末から分娩母豚および離乳子豚頭数が減少していることを受けて、夏ごろの生産量への影響を懸念しているものの、2016年の生産量は、前年比3.6%増の1113万1000トンと見込んでいる。
肥育豚価格は低水準で推移
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が3月29日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年3月の肥育豚価格は、前年同月比3.1%高の100ポンド当たり47米ドル(1キログラム当たり118円:1米ドル=114円)となった(図9)。2016年の年間平均価格についてUSDAは、同46〜49米ドル(同116〜123円)と見込んでおり、と畜頭数の減少に伴って2月以降はやや上 向くも、引き続き低水準で推移すると予測している。
(調査情報部 野田 圭介)
元のページに戻る