需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

牛肉生産は前年から回復、輸出も好調に推移


生産量は前年同期比7.3%増

アルゼンチン農産業省によると、2017年1〜9月の牛と畜頭数は、前年同期比7.5%増の929万1902頭、牛肉生産量は同7.3%増の209万5000トン(枝肉重量ベース)となった(図9)。エルニーニョ現象による多雨の影響で主産地が冠水し、草地状態の大幅な悪化により減産した前年からかなり回復している。

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また、牛出荷価格が高値で推移していることから、生産者は増頭や土地の拡大などに力を入れている(図10)。

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牛肉業界は、各種輸出規制(注)の撤廃や緩和が進む中、増産による輸出拡大への期待が高まっている。

(注) マクリ現大統領は前政権時代の各種輸出規制の撤廃・緩和を進めている。

輸出量は引き続き増加

アルゼンチン国家統計院(INDEC)によると、2017年1〜8月の牛肉輸出量は、前年同期比23.3%増の12万6552トン(製品重量ベース)となった(表6)。輸出先別では、中国が、旺盛な需要により引き続き大幅に増加した。中国は、比較的安価な南米(ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチン)からの調達を増やしている。

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また、EUや米国などに対して農畜産物禁輸措置を講じているロシアは、原油国際価格の下落やルーブル安により購買力が低下していたが、前年から大幅に回復し、同36.8%増の3717トンとなった。

なお、2016年のEU向け輸出は、前年比7.8%増の3万4523トンで、そのうち、ヒルトン枠(EU向け骨なし高級牛肉の低関税割当枠)は同5.2%減の1万3685トンとなった。輸出先は、ドイツと、オランダで約8割を占めている。

輸出量は2018年も大幅な増加の見通し

USDAによると、2018年のアルゼンチンの牛肉生産量を前年比5.1%増の290万トン(枝肉重量ベース)と見込まれる(表7)。生産量の約9割が仕向けられる国内消費は、景気低迷を受けて同2.8%増とわずかな増加にとどまるものの、輸出向けは、中国などの旺盛な需要を見込んで同25.0%増と予測されている。

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(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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