需給動向 海外

◆豪 州◆

2017/18年度の牛肉生産・輸出見通しを上方修正


牛肉生産量は3カ月連続で前年同月超

豪州統計局(ABS)によると、2017年8月の成牛と畜頭数は、牛群再構築の進展で繁殖基盤が回復し、市場に出回る頭数が増加していることから、67万7000頭(前年同月比9.6%増)とかなりの程度増加した。一方、と畜頭数に占める雌牛の割合は、牛群再構築のための雌牛保留を反映し、前年度および過去5カ年平均と比較して低い状態が継続している(図6)。

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8月の1頭当たりの平均枝肉重量は、と畜頭数に占める雌牛の割合の低下に加え、穀物肥育牛の割合の増加により、296キログラム(同2.1%増)と過去最高水準まで増加している。

こうしたことから、8月の牛肉生産量は、20万335トン(同11.8%増)とかなり増加し、3カ月連続で前年同月を上回った。

肉牛取引価格、降雨を受け上昇

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、出回り頭数の増加と乾燥気候による牧草肥育業者の導入意欲の低下により2016年10月から下落傾向で推移しており、2017年9月末時点で1キログラム当たり505.5豪セント(450円:1豪ドル=89円)まで下落した。しかし、10月に主要肉用牛生産地域であるクイーンズランド(QLD)州とニューサウスウェールズ(NSW)州で一定の降雨があり、今後も平年並みまたは平年以上の降雨が見込まれていることから、QLD州およびNSW州を中心に導入意欲が高まり、10月末時点では同573豪セント(510円)とかなり上昇した(図7)。

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MLA、枝肉重量の増加を受け牛肉生産量・輸出量を上方修正

MLAは10月17日、「Industry projections 2017 October update」において、四半期に1度の牛肉生産量などの見通しを公表した(表3)。

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MLAは、2017年については、牛と畜頭数を除き、すべての項目の予測値を前回(2017年7月)に続き上方修正した。

と畜頭数は、前回と同じ725万頭と見込んでいる。一方、1頭当たり枝肉重量は、と畜に占める雌牛の割合の低下や穀物肥育牛の割合の上昇に伴い、前回から3キログラム上方修正され、297キログラム(前年比3.2%増)と見込んでいる。

それに伴い2017年の牛肉生産量は、前回から2万4000トン上方修正した215万6000トン(同2.6%増)、牛肉輸出量は、牛肉生産量の回復に伴い、1万トン上方修正した103万トン(同1.2%増)と見込んでいる。

2018年以降は、牛飼養頭数(乳用牛を含む)は、2021年まですべての年で上方修正されており、牛肉生産量や輸出量などは堅調に増加するとしている。

今後の懸念事項としては、輸出について、穀物肥育牛肉を中心に日本および韓国向けが好調に推移しているものの、米国の牛肉生産量の回復に伴う競合の高まりや、中国におけるブラジルやウルグアイなど南米諸国のシェアの拡大が挙げられている。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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