需給動向 海外 |
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輸出が好調に推移し、価格は堅調
欧州委員会によると、2017年1〜8月の牛枝肉生産量(EU28カ国)は、乳価低迷により乳用牛の淘汰が進んで高水準となった前年並みの508万トンとなった(表1)。
加盟国別に見ると、ポーランドが旺盛な輸出需要を背景に同10.4%増とかなりの増加となった。同国は、冷蔵牛肉を主にボスニア・ヘルツェゴビナ、トルコ、イスラエルに、冷凍牛肉を主にイスラエル、香港に輸出している。また、オランダ(同7.0%増)は、主に環境規制の強化に伴う乳用牛の淘汰増により増加した。
欧州委員会は、2017年の牛肉生産量を前年並みの前年比0.1%増と見込んでいるものの、2018年は乳製品需要の高まりなどから酪農部門からの供給が落ち着くため、同0.5%減と見込んでいる。
2017年1〜8月の牛肉輸出量(製品重量ベース)は、前年同期比21.2%増となった(表2)。
輸出先別に見ると、最大のボスニア・ヘルツェゴビナは前年からやや減少も、その他の香港、アルジェリア、フィリピンは前年の2倍前後となり、全体の増加をけん引している。ウルグアイやブラジルなどの主要牛肉輸出国との競争はあるものの、EU産牛肉は低価格帯の部位を中心に、アジアやEUから比較的近距離にあるアフリカ、中東地域に対してシェアを拡大する傾向にある。
欧州委員会によると、2017年9月の牛枝肉卸売価格(EU28カ国)は、雄牛が前年同月比5.6%高の100キログラム当たり380.37ユーロ(5万589円:1ユーロ=133円)、去勢牛が同1.0%高の同402.41ユーロ(5万3521円)となった(図5)。
生産量が前年並みで推移する中、輸出需要の高まりなどから、雄牛の牛枝肉卸売価格は5月以降、去勢牛の同価格は4月以降、前年を上回って推移している。
(調査情報部 大内田 一弘)