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2017/18年度牛肉生産・輸出、減少見込み
ニュージーランド統計局によると、2016/17年度(10月〜翌9月)の牛と畜頭数は、239万9127頭(前年度比7.2%減)とかなり減少した(図8)。これは、去勢牛が53万677頭(同0.7%増)とわずかに増加したものの、経産牛、未経産牛、雄牛はいずれも減少し、特にと畜頭数の約4割を占める経産牛が、93万2363頭(同16.0%減)と大幅に減少したことによる。経産牛は、乳製品国際取引価格の上昇に伴い生産者支払乳価が上昇したことで、酪農家が乳用牛の淘汰を減少させている。
しかし、牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、比較的重量の軽い雌牛の割合が減少し、1頭当たり枝肉重量が252.9キログラム(同3.2%増)と増加したことで、60万6815トンと前年度比4.2%の減少にとどまった。
ニュージーランド統計局によると、2016/17年度の8月までの牛肉輸出量は、牛肉生産量の減少に伴い37万4172トン(前年同期比6.7%減)とかなりの程度減少した(表4)。
主な輸出先国別にみると、全輸出量の半数近くを占める米国向けは、米国内の牛肉生産量の回復に伴い17万6606トン(同9.3%減)と減少した。一方、約2割を占める中国向けは、7万3551トン(同2.8%増)とわずかに増加した。その他では、日本向けが1万6908トン(同20.3%増)と大幅に増加している以外は、軒並み減少している。
ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)は9月27日、「New Season Outlook 2017-18」の中で、2017/18年度の輸出向け牛肉生産量などの見通しを発表した。
これによると、輸出向け牛と畜頭数(と畜頭数全体の95%程度)は、前年度並みの236万3000頭と見込んでいる(表5)。内訳をみると、去勢牛は、輸出価格の下落による収益性の低下に伴い肉用繁殖雌牛が減少したことから、49万8000頭(前年度比5.3%減)と減少する一方、雄牛は、肉用牛需要が増加した過去2年間に保留された雄子牛が多かったことから、49万5000頭(同3.3%増)と増加を見込んでいる。
一方、輸出向け牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、重量の軽い経産牛(乳牛を含む)のと畜割合の増加に加え、去勢牛および未経産牛の早期出荷により、1頭当たり枝肉重量が250キログラム(同1.2%減)と減少することで、59万2000トン(同0.8%減)とわずかな減少を見込んでいる。
輸出金額は、輸出量の減少に加え、今後、世界的な牛肉供給量の増加に伴い輸出単価の下落が見込まれるとしており、27億2900万NZドル(2183億円:1NZドル=80円、同2.7%減)と見込んでいる。
現在、中国より認定を受けた数社の食肉企業が、期間限定で試験的に中国向けに冷蔵牛肉を輸出しており、今後も需要の増加が見込まれる同国への輸出拡大に期待している。
(調査情報部 大塚 健太郎)