需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成29年度上半期の需給、生産量・出回り量ともに
過去最高を記録


平成29年9月の鶏肉需給を見ると、生産量は12万7464トン(前年同月比3.4%増)と5カ月連続で前年同月を上回った。輸入量はブラジル産の増加により、5万5371トン(同31.8%増)と前月に続き5万トンを超える高い水準となった。推定出回り量は17万9229トン(同5.7%増)と前年同月をやや上回り、推定期末在庫は前月から3606トンを積み増したことから、16万1461トン(同2.2%減)となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

上半期の輸入量、タイ産が大幅増

平成29年度上半期(4〜9月)の生産量は、4月を除くすべての月で前年同月を上回り、76万9978トン(前年同期比1.6%増)と過去最高を記録した(図5)。要因としては、近年の底堅い需要を受けて生産者の増産意欲が高まったことで、ブロイラーのひなえ付け羽数が増加傾向で推移したことなどが挙げられる。

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また、上半期の輸入量は、29万3231トン(同6.2%増)と前年同期をかなりの程度上回った。

輸入相手国別に見ると、高い供給力と価格面で優位性があるブラジル産は21万4782トン(同2.9%増)と前年同期をわずかに上回り、全輸入量に占める割合は73%(同3ポイント減)となった。また、高度な加工技術に定評があり、骨なし角切りもも肉の割合が高いタイ産は6万4265トン(同19.3%増)と前年同期を大幅に上回り、全輸入量に占める割合は22%(同2ポイント増)となった。一方、主にクリスマス需要向けの骨付きもも肉が大半を占める米国産は1万1375トン(同3.6%増)と前年同期をやや上回り、全輸入量に占める割合は前年同期並みの4%となった。

9月の期末在庫、16万トン超え

平成29年度上半期の推定出回り量は、牛肉や豚肉と比べ安価でヘルシーなイメージがあることから、消費者の経済性志向や健康志向などを反映し103万7507トン(同1.2%増)となり、3年連続で100万トンを超え、過去最高を記録した。

また、9月の推定期末在庫は、高水準の輸入量で積み上がっていた前年同月の反動を受け、16万1461トン(前年同月比2.2%減)と前年同月を下回ったものの、過去5カ年平均をかなり大きく上回った。

上半期の鶏肉相場、むね肉は高値で推移

平成29年度上半期の鶏肉卸売価格(東京)を見ると、もも肉価格は、潤沢な供給を背景に7月以降前年同月を下回って推移し、上半期の単純平均は1キログラム当たり618円(前年同期比0.2%安)と前年同期並みとなった。一方、むね肉価格は、サラダチキンなどの加工向けを中心とした好調な需要に加え、競合する輸入品が在庫過多であった前年の反動もあり、すべての月で前年同月を大幅に上回り、上半期の単純平均は同333円(同31.8%高)と堅調に推移した(図6)。

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なお、10月(速報値)は、もも肉は前年同月比6.4%安ではあるが、同599円と例年通り需要期に向けて上昇した。また、むね肉は同327円(前年同月比18.5%高)と上半期に引き続き高値となった。

(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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