需給動向 海外 |
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世界的なタイ産鶏肉需要の高まりから、輸出、生産ともに増加
2017年1〜8月の鶏肉輸出量(調製品等を含む。)は、世界各地における鳥インフルエンザ(AI)の発生、ブラジルの食肉不正問題などによるタイ産鶏肉への需要増が追い風となり、53万4578トン(前年同期比9.9%増)となっている(図18)。
品目別にみると、鶏肉調製品は、34万4261トン(同12.3%増)となっており、このうち日本向けは17万3263トン(同16.1%増)と5割を占め、好調な輸出をけん引しているほか、韓国、香港、シンガポールなど向けが増加している。一方、EU向けは、タイ産鶏肉の輸入に対し17万6133トンの関税割当を設けているため前年並みとなっている。
冷凍鶏肉(カット品)については、鶏肉調製品と同様に日本向けが好調なことから、14万362トン(同11.1%増)となっている。マレーシア向けが1万8007トン(同113%増)と増加しており、この要因として、2016年12月以降、最大の輸入先国である中国においてヒトへのAIの感染例が大幅に増加したため、タイ産に徐々にシフトしていることが挙げられる。
米国農務省海外農業調査局(USDA/FAS)は、タイの鶏肉輸出量の見通しについて、2017年は77万トンとし、2018年も引き続き日本や韓国などからの鶏肉調製品需要の増加が見込まれることから、80万トンになるとしている。
2017年1〜8月の食鳥処理羽数は、9億8003万羽で、鶏肉生産量は134万3000トン(前年同期比5.2%増)と、過去10年間で最も高い数値を記録している(図19)。増産の背景には、世界的なタイ産鶏肉需要の高まりに加えて、中食用の鶏肉加工品の国内消費の増加がある。
タイ東北部では引き続き洪水の影響を受けている地域はあるが、タイ農業・協同組合省は、8、9月は洪水による鶏肉生産への影響は軽微であったとしている。
タイ商務省国内取引局は、農産物国内市場価格予測の中で、10月の鶏肉価格(卸売価格、小売価格)について、10月20~28日のキンジェーと呼ばれる菜食週間の影響は軽微であり、国内外の需要を満たすだけの生産量が見込まれるため、価格は安定して推移するとしている。
(調査情報部 青沼 悠平)