需給動向 海外 |
生乳生産増加見込みを受け、国際価格は下落
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2017年8月の生乳生産量は73万7100キロリットル(75万9200トン相当、前年同月比同)と前年並みとなった。7〜8月の累計では、139万6300キロリットル(143万8200トン相当、前年同期比1.6%増)と前年同期をわずかに上回った(図23)。
酪農主産地のビクトリア(VIC)州では、比較的潤沢な降雨に恵まれたこともあり、8月は同0.3%増の49万4500キロリットル(50万9300トン相当)と2カ月連続で前年同月を上回った。生産量第2位のニューサウスウェールズ州でも、19万4900キロリットル(20万700トン相当)と前年同月を上回った。その一方で、地元の飲用乳仕向けが中心のクイーンズランド州では、乾燥気候による牧草生育環境の悪化により、7万2200キロリットル(7万4400トン、同2.6%減)とやや減少した。
10月11日にDAが発表した「Dairy Situation and Outlook」によると、2017/18年度(7月〜翌6月)の生乳生産量は、920万キロリットル(948万トン)と、前年度の900万キロリットルから2〜3%程度回復すると見込まれている。VIC州を中心に、冬の終わりから十分な降雨があったことや、肥料やかんがい用水といった生産資材に係るコストが比較的低いことに加え、国際市況の回復により乳価が回復し、今後もこの水準での推移が見込まれることなどが背景にあるとしている。
DAが発表した2017年8月の乳製品の主要4品目の輸出量は、前年同月と比較してチーズは大幅に上回ったものの、脱脂粉乳と全粉乳はやや、バターは大幅に下回った(表11、図24)。
輸出量を国別に見ると、脱脂粉乳と全粉乳は、東南アジア向けが減少したものの、中国向けがいずれも前年同月比で倍以上となった。バターは、輸出仕向け量が減少する中、輸出単価の上昇もあり、主要な輸出先である中東や東南アジア各国向けが前年同月を大幅に下回った。一方、チーズは、中国や韓国、マレーシア向けなどが、NZ産からの切り替えにより増加したことで、前年同月を大幅に上回った。
2017年10月17日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表12、図25)。
主要4品目は、いずれも前回から下落した。関係者の間では、世界の乳製品需要は今後も堅調な推移が見込まれる一方で、豪州やEUなど主産地で増産が見込まれることから、乳製品需給が緩和基調となるとの見方が出ている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)