需給動向 海外

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乳製品価格は下落傾向も、乳価は上昇


8月のドイツ、フランスの生乳生産がプラスに転換

欧州委員会によると、2017年8月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比3.1%増の1303万トンと、6カ月連続の増産となった(図20)。

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ポーランド(同5.1%増)、イタリア(同13.2%増)、アイルランド(同11.2%増)など増産傾向にあった国だけでなく、2017年に入ってから天候不順などにより前年を下回って推移してきたドイツ(同0.9%増)、フランス(同0.7%増)も増加に転じたことから、全体の増産傾向が強まった。

2017年1〜8月までの累計では、前年同期比0.2%増となった(表10)。ドイツ、フランスの2大生産国が回復したことで、累計で初めて前年同期を上回った。欧州委員会は、2017年通年で前年比0.7%増を見込んでいる。

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乳価は4カ月連続の上昇

欧州委員会によると、2017年9月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比28.8%高の100キログラム当たり35.82ユーロ(1キログラム当たり47.6円:1ユーロ=133円)となった(図21)。同価格は、EU域内外の乳脂肪やチーズの需要が引き続き好調なことから、4カ月連続の上昇となった。

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乳製品価格はバターにも下落傾向

欧州委員会によると、2017年10月16日の週のバター平均卸売価格(EU28カ国)は、前週から5.3%下落し、100キログラム当たり585.9ユーロ(7万7925円)となった(図22)。

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同価格は、乳脂肪需要の高まりなどから前年同期比43.1%高と引き続き高値にあるものの、9月11日の週の同650.1ユーロ(8万6463円)をピークに、前週比では5週連続の下落となった。

チーズ価格は、前週同の同347.32ユーロ(4万6194円)と、ここ数週間はほぼ横ばいで推移している。

脱脂粉乳価格は、2週連続で下落し、同159.8ユーロ(2万1253円)となった。同価格は、36万トンまで積み上がった公的在庫などを背景に、公的買入価格(同169.8ユーロ)を6週連続で下回っている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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