需給動向 国内 |
平成29年9月の生乳生産量は、58万718トン(前年同月比0.8%減)と13カ月連続で前年同月を下回った(図7)。内訳を見ると、北海道が31万5080トン(同0.4%増)と13カ月ぶりに増加に転じた一方、都府県が26万5638トン(同2.2%減)と減少傾向に歯止めがかかっていない。北海道では、天候がおおむね良好に推移し、今年度産の粗飼料の品質が良好であることに加え、乳房炎の発生率も低下していることから、主産地である帯広地区や中標津地区で前月同月を上回った。また、主産地以外の地区でも生産の回復が目立った。一方、引き続き都府県では、昨年度から熊本地震、台風や大雨などの被害に見舞われる中、九州を中心に減少傾向にある。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは、34万9769トン(同0.2%増)と前年同月並みとなったものの、乳製品向けは22万6834トン(同2.2%減)と15カ月連続で前年同月を下回った。また、乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けも前年同月比5.5%減とやや下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
平成29年度上半期(4〜9月)の生乳生産量は、366万7858トン(前年同期比1.9%減)と前年同期をわずかに下回った。地域別に見ると、北海道は196万4770トン(同1.6%減)、都府県は170万3088トン(同2.2%減)といずれも減少とした。北海道の減少要因としては、28年度産の粗飼料(牧草)品質が夏に発生した台風の被害により低下したこともあり、29年4〜7月の1頭当たり乳量が減少したことなどが挙げられる。
都府県の減少要因としては、酪農家の離農などによる飼養頭数の減少に加え、今夏は西日本での猛暑の影響などが挙げられる。
平成29年度上半期の用途別生乳処理量は、牛乳等向けが204万1685トン(前年同期比0.3%減)と前年同期並みとなった一方、乳製品向けは160万1391トン(同3.8%減)とわずかに減少となった。乳製品向けの減少要因としては、生乳生産量が前年同期を下回る中で、はっ酵乳や牛乳需要が底堅く、牛乳等向けが前年並みで推移していることが挙げられる。また、総務省の家計消費調査を見ると、上半期の全国・全世帯(2人以上の世帯)の平均の牛乳購入量は、前年同期並みで推移している。
乳製品向けの内訳を見ると、脱脂粉乳・バター等向けは71万9548トン(同8.2%減)、チーズ向けは20万6337トン(同4.7%減)と減少した(表)。
(畜産需給部 山神 尭基)