需給動向 海外 |
◆中 国◆
国内価格の低下により輸入量が減少
中国国家発展改革委員会などによると、2017年1〜10月の平均子豚価格は前年同期比13.2%安の1キログラム当たり38.4元(663円:1元=17.26円)、平均生体豚出荷価格は同18.5%安の15.4元(266円)、平均豚肉小売価格は同8.6%安の29.2元(504円)と、それぞれ下落した(図11)。
収益性の指標とされる豚トウモロコシ比(注)を見ると、生体豚出荷価格の下落により前年同期より低下しているものの、飼料用トウモロコシ価格が低水準にあるため、利益が出る水準とされる6.0を上回る状態が続いている(図12)。
(注)養豚経営の収益性の指標とされる。1キログラム当たりの豚出荷価格を飼料用トウモロコシの卸売価格で除したもの。一般に6.0を上回ると農家は繁殖用母豚を増やし、5.5を下回ると繁殖用母豚を淘汰すると言われる。
中国農業部によると、豚飼養頭数は2014年9月以降減少傾向にあり、2017年9月は前年同月比7.2%減の3億4987万頭となっている。このうち、繁殖母豚は同4.7%減の3500万頭であった(図13)。
現地報道によると、中国環境保護部は環境規制(注)により2017年上半期(1〜6月)に21万3000の農場(他畜種を含む)が移転または閉鎖したとしており、これに伴って相当程度の豚がと畜されたと考えられる。
(注)農業部『全国生体豚生産発展計画(2016~2020年)』(2016年4月公表)、国務院『第十三次五カ年生態環境保護計画』(2016年12月公表)等により、養豚を禁止された地域に立地する養豚場は移転または閉鎖を強いられている。
中国国家統計局によると、2017年の第3四半期まで(1〜9月)の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、前年同期比0.7%増の3717万トンとなった(図14)。
環境規制による養豚業者の移転や廃業に伴った出荷が多くなされたことが影響していると考えられる。
2017年1〜9月の豚肉輸入量は、前年同期に比べ28.0%減の92万トンとなった。国別に見ると、デンマーク、ドイツ、フランス、ブラジル、オランダはそれぞれ3割以上減少している(表8)。この理由として、国内の豚肉小売価格が前年同期に比べて下落し輸入業者の利益を圧迫していることが挙げられる。なお、輸入単価の安い英国からの輸入量は増加している(表9)。
(調査情報部 三原 亙)