需給動向 海外 |
◆豪州◆
牛肉生産量、輸出量ともに、初めて前年同期を上回る
豪州統計局(ABS)によると、2017年9月の成牛と畜頭数は、牛群再構築の進展で繁殖基盤が回復し、市場に出回る頭数が増加していることから、61万2900頭(前年同月比11.1%増)と大幅に減少した前年からかなり回復した。
同月の牛肉生産量は、1頭当たり枝肉重量の増加もあり、18万1447トン(同13.7%増)とかなり増加し、4カ月連続で前年同月を上回った(図4)。この結果、2017年1〜9月の累計では、160万9143トン(前年同期比1.4%増)と今年初めて前年同期を上回った。
東部主要肉牛生産地域で、10月に良好な降雨に恵まれたことや、今後の気象も比較的良好な見通しであることから、牧草肥育業者を中心に導入意欲が高まっている。また、クイーンズランド州は、他の地域と比べて遅れていた牛群再構築が進展するとみられている。
豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2017年10月の牛肉輸出量は、牛肉生産量の回復により、8万6279トン(前年同月比18.8%増)と大きく減少した前年から大幅に増加した(表1)。その結果、2017年1〜10月の累計では、83万9142トン(前年同期比0.1%増)と、牛肉生産量同様、今年初めて前年同期を上回った。
2017年1〜10月の牛肉輸出量を主要輸出先別に見ると、日本向けは、輸入牛肉への需要増に伴い、24万2631トン(同13.6%増)とかなり増加した。米国向けは、同国の牛肉生産量の回復と豪州の牧草肥育牛肉の供給力不足により、20万1129トン(同2.8%減)とわずかに減少した。しかし、豪州の牛肉生産量の回復に伴い、6月以降は単月では前年同月を上回って推移しており、このペースが続けば年間では前年を上回る可能性もある。韓国向けは、米国産牛肉との競合などにより減少した。しかし、韓国では、国内牛肉生産量の減少に伴い輸入牛肉需要が高まっており、2017年10月、昨年に引き続き2年連続で、韓国と豪州間の自由貿易協定に基づくセーフガードの発動基準数量を上回り、関税率が29.4%から40%に引き上げられた。中国向けは、一部の食肉処理場が輸出停止措置を受けているものの、同国からの需要が強いことから増加した。
豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は11月14日、共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2017年7〜9月)を公表した。これによると、2017年9月末のフィードロット飼養頭数は、102万4748頭(前年比29.9%増)と、前回調査時(2017年6月末)からはわずかに減少したものの、前年を大幅に上回り、3回連続で100万頭を上回った(図5)。
MLAは、フィードロット飼養頭数が前回調査時から減少した要因として、牛群再構築の途上にあり、肥育もと牛の供給が限られていること、また、生体牛取引価格は下落したものの、穀物価格が上昇したことを挙げている。
一方、フィードロットの収容可能頭数は、穀物肥育牛への需要が高いことから、127万8184頭(同4.7%増)と、前回調査時から0.9%増加した。
2017年7〜9月の穀物肥育牛のと畜頭数が、と畜頭数全体に占める割合は38%と、前回調査時の41.3%からは減少したものの、比較的高い水準となっている。
(調査情報部 大塚 健太郎)