需給動向 国内

◆牛 肉◆

29年10月の期末在庫量、22カ月ぶりに前年同月を上回る


平成29年10月の牛肉需給を見ると、生産量は2万8288トン(前年同月比4.1%増)と前年同月をやや上回った。品種別では、和牛が1万2177トン(同4.5%増)とやや、交雑種が7484トン(同11.4%増)とかなり大きく、それぞれ前年同月を上回ったものの、乳用種は8344トン(同1.3%減)と前年同月をわずかに下回った。

輸入量は、冷凍品が2万917トン(同11.9%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、冷蔵品が8カ月連続で2万トン超えの2万2370トン(同27.9%増)と大幅に増加したことから、全体では4万3318トン(同5.0%増)となった。国別に見ると、最大のシェアを占める豪州産は、2万961トン(同2.3%減)とわずかに減少した一方、飼養頭数の回復により出荷頭数が増加している米国産は1万9094トン(同18.3%増)と大幅に増加しており、外食や量販店を中心に米国産の需要が高いものとみられる。また、その他ではメキシコ産の冷蔵・冷凍品輸入量の増加も目立った。

推定出回り量は、前年同月をかなりの程度下回る7万2136トン(同6.0%減)となり、推定期末在庫は前月から800トンほど取り崩したものの、輸入品が増加したことで11万8344トン(同1.7%増)と22カ月ぶりに前年同月をわずかに上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

輸入牛肉仲間相場、米国産は上昇

牛肉の輸入量が増加する中、豪州・米国産ともに冷蔵品輸入量の約3〜4割を占めるチャックアイロール(日本では肩ロース)の仲間相場を見ると、29年10月は、豪州産が1キログラム当たり984円(前年同月比9.7%安)でかなりの程度下落した一方、米国産は同1192円(同10.3%高)と上昇した。両者の価格差は、28年12月以降、拡大する傾向にある(図1)。

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豪州産が下落した要因としては、牛群再構築の進展に伴い繁殖基盤が回復し前年よりも市場に出回る牛の頭数が増加していることや、29年度に入り一部地域では乾燥気候によりと畜頭数が増加し、牛肉生産量が増えたことが挙げられる。米国産の増加要因としては、飼養頭数の回復によりと畜頭数は増加しているものの、米国内での需要が高いことや輸出需要増に伴う現地相場高などが挙げられ、米国農務省が公表している現地価格(チャックアイロール・チョイス級)を見ても、29年5月以降、前年を上回る水準で推移している。

他方、国内市場では肉ブームを背景に、大手外食チェーンの店舗の拡大などが報道されており、輸入牛肉需要は高い状況が続いている。また、総務省の「家計調査報告」によると、29年10月の全国一人当たり牛肉購入数量は、牛肉が183グラム(同4.2%増)となり、29年4月からの累計でも前年同期比4.7%増と好調に推移している(図2)。

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(畜産需給部 山神 尭基)


				

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