需給動向 海外

◆米 国◆

生産増も堅調な需要により牛肉価格は上昇


牛肉の増産は今後も続く見込み

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年11月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、10月のと畜頭数は、前年同月比6.1%増の279万9000頭となった。このうち、去勢牛は同0.7%増にとどまる一方、未経産牛は同15.0%増、肉用経産牛は同7.5%増と、牛群の再構築により雌牛が増加している。1頭当たり平均枝肉重量は、前年並みの375キログラムとなった。この結果、牛肉生産量は、同4.0%増の104万4000トンとなった(図1)。

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2017年第4四半期(10〜12月)の生産見込みについてUSDAは、と畜頭数および枝肉重量の減少から前月の予測値を下方修正したが、なおも前年同期比5.1%増の315万9000トンと見込んでいる。2018年については、と畜頭数が増加するとの予測から、前年比4.6%増の1252万8000トンと見込んでいる。

牛肉卸売価格は堅調な需要により上昇

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年11月の肥育牛価格は、収益性が良好とされるパッカーからの需要が強いことにより、前年同月比14.6%高の100ポンド当たり121.75米ドル(1キログラム当たり303円:1米ドル=113円)となった。

また、同月の牛肉卸売価格は、国内外からの堅調な需要により、同12.5%高の同209.50米ドル(同522円)となった(図2)。

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牛肉輸出量は前年を大きく上回る

USDA/ERSによると、2017年9月の輸出量は、前年同月比14.0%増の11万トンとなった(図3)。輸出先別に見ると、日本が同39.7%増の3万4000トン、韓国が同3.2%増の1万8000トン、メキシコが同8.1%増の1万6000トン、カナダが同7.8%増の1万1000トンとなった。一方、香港は、同8.5%減の1万1000トンとなった。

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第3四半期(7〜9月)で見ると、前年同期比12.9%増の33万8000トンと、アジア向けを中心にかなり大きく増加した。第4四半期についてUSDAは、増産に伴い安値で推移すると予想されるとし、同5.0%増の35万1000トンと見込んでいる。

豪州からの牛肉輸入量が前年を大幅に上回る

USDA/ERSによると、2017年9月の輸入量は、前年同月比5.3%増の10万5000トンとなった。このうち、干ばつによる減産から回復してきている豪州産が同46.4%増の2万9000トンと大幅に前年を上回った。

第4四半期の輸入量については、米国内で赤身率の高い牛肉への需要が堅調なことなどから、前月の予測値を上方修正し、前年同期並みの29万トンと見込んでいる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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