需給動向 海外 |
◆ブラジル◆
1〜9月の輸出量は前年同期比1.6%減
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2017年1〜9月の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年同期比1.6%減の301万5765トン(製品重量ベース)となった(表8)。輸出量が減少した主な要因としては、同年3月17日に発覚した食肉不正問題によって主要輸出先国がブラジル産鶏肉の輸入を一時的に停止したことに加え、サウジアラビアおよび中国向けが国内生産の回復などにより低調となったことが挙げられる。
一方、輸出額(米ドル換算)は、前年と比較してレアル高で推移し、輸出単価が上昇したため、同7.5%高となった(図11)。
月別にみると、食肉不正問題が発覚した3月以降、6月まで前年同月を下回って推移したが、7月以降は前年同月を上回っている。
国別にみると、第1位のサウジアラビア向けは2月を除いて前年同月を下回った。ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は、(1)現地における生産量の回復(2)2017年1月から同国で輸入鶏肉に対し関税の引き上げ(3)今年輸入量を伸ばしているエジプトとの競合が減少の要因としている。
第3位の中国向けも、食肉不正問題の影響に加え、同国の国内生産の回復や在庫量の増加などから、大幅に減少した。一方、南アフリカやエジプト向けは、4月を除き増加しており、今後の鶏肉輸出における存在感の高まりが期待されている。そのため、ABPAは、2017年通年では前年を上回ると予想している。
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が9月12日に公表した2016/17年度(10月〜翌9月)主要穀物生産状況等調査結果によると、トウモロコシの生産量は、前年度の干ばつによる需給ひっ迫を受けて作付面積が増加した上、単収も良好だったことから、前年度比46.9%増の9771万トンと大幅な増加が見込まれている(図12)。
ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養鶏・養豚調査センター(CIAS)によると、最大の生産州であるパラナ州における2017年9月のブロイラー生産コスト指数は同年5月並の178.29と、1年ぶりに前月から上昇した。同指数は、生産コストの約7割を占める飼料の主原料であるトウモロコシの価格が、豊作見込みにより下落していることから、16年7月以降低下基調で推移していた(図13)。
(調査情報部 佐藤 宏樹)