需給動向 国内

◆鶏 肉◆

10月の鶏肉在庫、21年1月以来の17万トン超え


平成29年10月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万6846トン(前年同月比3.9%増)と前年同月をやや上回り、輸入量はブラジル産やタイ産の増加により、5万7849トン(同15.5%増)と前年同月をかなり大きく上回った。推定出回り量は18万4826トン(同1.6%増)と前年同月をわずかに上回り、推定期末在庫は前月から9869トンを積み増したことから、17万1330トン(同3.8%増)と高い水準となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

鶏肉輸入量、3カ月連続の5万トン超え

平成29年10月の鶏肉輸入量は、現地の旺盛な輸出意欲や日本国内の底堅い需要を背景に、5万7849トンと3カ月連続で5万トン台の高い水準となった。その結果、輸入品在庫は大きく積み増し、国産品在庫も加えた鶏肉在庫の合計は平成21年1月以来8年9カ月ぶりの17万トン台となった。

輸入量を国別に見ると、高い供給力と価格優位性から7割以上を占めるブラジル産は4万2467トン(前年同月比16.0%増)となり、23カ月ぶりに4万トン超えとなった前月をさらに上回った。また、タイ産は1万2701トン(同11.4%増)と15カ月連続で前年同月を上回り、タイ産の輸入停止が解除された25年12月以降では最も多い数量となった。輸入量は29年2月以降、7月を除く全ての月で過去5カ年平均を上回っており、当面はこの傾向が続くものと思われる(図5)。

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輸入価格(CIF)を国別に見ると、骨なし角切りもも肉など一次加工品の割合が高いタイ産は、ブラジル産と比べて高値となっており、ともに最近は上昇傾向で推移していることから、前年と比べると輸入環境は厳しい状況となっている。

鶏肉調製品輸入量、タイ産・中国産ともに大幅増

10月の鶏肉調製品(加熱処理済みのもの)輸入量は、コンビニエンスストアのホットスナックや、サラダチキン、弁当、総菜など鶏肉調製品を用いた商品が増えていることから、タイ産、中国産ともに増加傾向で推移しており、4万2447トン(前年同月比19.6%増)と前年同月を8カ月連続で上回った(図6)。

輸入価格(CIF)については、最近はタイ産、中国産ともにほぼ横ばいで推移している。

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健康志向の高まりでむね肉消費増加

近年のむね肉卸売価格(東京)を見ると、好調な需要を反映し、平成25年度以降、1キログラム当たり250円を大幅に上回る水準で推移し、29年度(4〜10月)は、同332円(前年同期比29.7%高)となった(図7)。

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むね肉の好調な需要は、消費者の節約志向や健康志向の高まりが背景にあると思われる。むね肉は、牛肉や豚肉、もも肉と比べて価格が安く、低カロリー、高タンパク質な食品として、近年消費者に親しまれている。特に29年は、たっぷりの野菜・果物に肉類をあわせて主食とする新しいスタイルのサラダの需要も伸び、サラダの具材としても広く活用されたとして、鶏むね肉料理が2017年「今年の一皿」(注)に選ばれ、話題となった。

 

(注):「今年の一皿」とは、優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承するために、株式会社ぐるなび総研が毎年発表している、その年の世相を反映し象徴する食のことをいう。

(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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