需給動向 海外

◆豪州◆

生乳生産は減少に転じ、乳製品輸出は中国向けを除き減少


9月の生乳生産量、前年同月をわずかに下回る

デーリー・オーストラリア(DA)によると、2017年9月の生乳生産量は87万9100キロリットル(90万5500トン相当、前年同月比0.6%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回り、前年同月をわずかに下回った。7〜9月の累計では、228万1000キロリットル(234万9400トン相当、前年同期比1.0%増)と前年同期をわずかに上回ったが、増加幅は8月時点よりも縮小した(図21)。

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現地専門家によると、9月は、酪農主産地のビクトリア(VIC)州西部の生産量が、少雨による牧草生育環境の悪化から減少した(前年同月比15.6%減)。10月初頭には、同地域やマレー川流域で適度な降雨があったものの、生乳生産がピークを迎える10月以降に生産が回復するのか、今年度の動向を不安視する向きもある。

9月の乳製品輸出量、脱脂粉乳を除いて減少

DAが発表した2017年9月の乳製品の主要4品目の輸出量は、前年同月と比較して脱脂粉乳は大幅に上回ったものの、チーズはやや、全粉乳とバターは大幅に下回った(表11、図22)。

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脱脂粉乳は、マレーシア向けが減少したものの、インドネシア向けがニュージーランド(NZ)産からのシフトにより前年同月比で倍増し、中国向けも同国の需要増に伴い4倍近くに増加したことから、前年同月を大幅に上回った。

チーズは、中国向けが増加したものの、韓国や東南アジアにおける需要減により減少したことで、前年同月をやや下回った。

全粉乳とバターは、ともに中国向けが倍増したものの、全粉乳は東南アジア向けがNZ産へのシフトによる減少から、バターは主要な輸出先である中東や東南アジアにおける需要減による減少から、いずれも前年同月を大幅に下回った。

豪州最大手乳業メーカー、売却や人員削減により経営再建

豪州最大の集乳シェアを有する酪農協系乳業メーカーのマレーゴールバン(MG)社は10月27日、かねてから検討していた企業の売却先を、サプート社(注)に決定したと発表した(売却額は13億1000万豪ドル)。MG社に生乳を供給している酪農家については、2018/19年度(7月〜翌6月)以降、乳価が引き上げられるとともに、向こう5年にわたって集乳が継続される。

MG社は、2016年4月に大幅な営業赤字が判明したことで、異例ともいえる生産者支払乳価の引き下げを行ったところ、酪農家の離脱による集乳量の減少に歯止めがかからず、経営環境悪化からの立て直しが急務となっていた。

こうした中、MG社は11月21日、経営合理化を推進するため、ビクトリア州南部と北部に位置する4工場で、自主的な退職を促すことで計70名余りの人員を削減すると発表した。現地報道は、直近の集乳量の減少により、処理施設の能力や人員が余剰になっていることが背景にあるとしている。

(注) サプート社は、世界でも十指に入る巨大な乳業メーカーで、本社はカナダにある。豪州では、ワーナンブールチーズ&バター(WCB)社の筆頭株主として知られている。
MG社の売却についての詳細は、2017年11月16日付け海外情報「最大手乳業、カナダ乳業への売却を発表」
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002054.html)を参照。

(調査情報部 竹谷 亮佑)


				

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