需給動向 海外

◆中国◆

乳製品の輸入量は引き続き増加


飲用乳以外の乳製品輸入量は増加

2017年1〜10月の主要乳製品の輸入量は、飲用乳を除くすべての品目で前年同期を上回った。特に、最近変化の大きい品目は次の通りである(表14)。

036a

全粉乳と脱脂粉乳は、それぞれ前年同期比10.7%増、同29.2%増となった。脱脂粉乳は、最もシェアの高いニュージーランドからの輸入量が同2.1%増であるのに対し、豪州、ドイツ、フランスからの輸入量はそれぞれ同87.4%増、同114.5%増、同80.6%増と大幅に増加した(表15)。

036b

育児用粉乳(育粉)は同30.0%増となった。現地専門家によると、「二人っ子政策」への転換により育粉需要は増加しており、国内の育粉生産量が横ばいで推移する中、需要増加分は輸入によって賄われている。

また、ヨーグルトは同61.9%増と大幅に増加した。9月の月間輸入量が過去最高を更新するなど、需要の拡大を背景に急速に輸入量が増えている。

一方、飲用乳は同14.9%減となった。現地専門家によると、中国での需要は、賞味期限が長く長距離輸送に適した超高温瞬間殺菌(LLT)牛乳から、冷蔵流通が必要で賞味期限の短い牛乳にシフトしていることが原因として挙げられる。

また、品目別の輸入単価は、ホエイ、バター、全粉乳がそれぞれ前年同期比48.5%高、同38.3%高、同28.5%高と大幅に上昇した一方、ヨーグルトおよび育粉は同14.5%安、同0.8%安と低下している(表16)。

037a

配合登録制度により、多くの育粉が淘汰される可能性

育粉の安全性確保を進める中国では、「乳幼児用粉乳の配合登録管理弁法」(詳細は本誌2016年9月号P104~106を参照)に基づき、国内製造品、輸入品ともに、2018年1月1日までに育粉製品の配合を国家食品薬品監督管理総局に登録しなければならない。配合の登録は、1社当たり、3つの発育段階(0〜6カ月齢、6〜12カ月齢、12〜36カ月齢)ごとに3種類ずつ、合計9種類が上限とされている。

現在中国で販売されている育粉の配合は2000種類以上(うち海外産は231種類)あると言われているが、11月14日時点での登録件数は有名ブランドを中心とした598件(うち海外産は109種類)にとどまっている。このため、現地では、控えめに見積もっても現在販売されている配合の半数以上がとうされると見られている。

(調査情報部 三原 亙)


				

元のページに戻る