需給動向 海外

◆EU◆

生乳生産が回復も乳価は引き続き高水準


ドイツ、フランスで生産が回復し、増産傾向が強まる

欧州委員会によると、2017年9月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比4.3%増の1237万トンと7カ月連続の増産となった(図18)。また、9月の出荷量としては過去最大となった。

029b

EU最大の出荷量であるドイツ(同3.2%増)と第2位のフランス(同3.6%増)をはじめ、主要国で軒並み前年同月を上回った(表10)。

030a

2017年1〜9月までの累計では、前年同期比0.7%増となっている。欧州委員会は、2017年通年で前年比0.7%増を見込んでいる。

乳価は12カ月連続で前年を上回る

欧州委員会によると、2017年10月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、12カ月連続で前年を上回り、前年同月比22.7%高の100キログラム当たり36.72ユーロ(1キログラム当たり49.2円:1ユーロ=134円)となった(図19)。同価格は、EU域内外の乳脂肪やチーズ需要が引き続き好調であることから、高値で推移している。

030b

バター、チーズは高値で推移、脱脂粉乳は引き続き低迷

欧州委員会によると、2017年11月13日の週のバター平均卸売価格(EU28カ国)は、前週から0.5%高の100キログラム当たり532.9ユーロ(7万1409円)となった(図20)。同価格は、9月11日の週の同650.1ユーロ(8万7113円)をピークに下落傾向にあった。前年比では28.5%高と依然として高値で推移する中、需要が高まる年末に向け、さらなる値上がりを懸念する報道も一部にある。

030c

チーズは、前週から1.9%安の同331.2ユーロ(4万4381円)となった。好調な輸出を反映し、前年後半から高止まりとなっている。

一方、脱脂粉乳は、前週から0.7%上昇したものの、前年比23.5%安の同151.6ユーロ(2万314円)となった。同価格は、38万トン弱まで積み上がった公的在庫が重しとなり、公的買入価格(同169.8ユーロ)を10週連続で下回り、低迷を続けている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

元のページに戻る