需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

生乳生産量、14カ月ぶりに前年同月並みに回復


平成29年10月の生乳生産量は、60万688トンと14カ月ぶりに前年同月並みに回復した(図8)。内訳を見ると、北海道が32万5251トン(前年同月比1.8%増)と前月に続き増加した一方、都府県が27万5437トン(同2.0%減)と減少傾向にある。

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北海道では、生乳生産の主力となる2歳以上5歳未満の乳牛の頭数が前年同月を上回っていることに加え、29年度産の牧草サイレージの品質も良好であることから、主産地である釧路や帯広地区などで前月同月を上回り、その他地域でも生産の回復が進んでいる。都府県では、九州が前月からの減少幅が縮小したものの、都府県の3割を占める関東では同月下旬に発生した台風の影響などにより減少幅が拡大した。

用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは34万7485トン(同0.8%減)と前年同月をわずかに下回ったものの、乳製品向けは同月下旬に首都圏を襲った台風の影響により北海道からの生乳の移出量が一時的に減少し、これが加工向けとして仕向けられたことなどから、24万8983トン(同1.4%増)と16カ月ぶりに前年同月を上回った。また、乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けも前年同月比7.4%増とかなりの程度増加した(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

10月のバター・脱脂粉乳の生産量、ともに増加

10月の乳製品の生産については、バターは4170トン(前年同月比3.8%増)と14カ月ぶりに増加に転じ、脱脂粉乳も8917トン(同12.7%増)と5カ月ぶりに前年同月を上回った。バターについては、クリスマス需要を見越して、各乳業メーカーが優先的に生産していることもあり、増加したものとみられる。また、脱脂粉乳については、バターと同じく需要期を迎えるクリームの生産量が増加傾向にあり、同時に生産される無脂乳固形分からの仕向け量が増えているとみられることから、増加率が2桁に達したものとみられる。

10月末のバター・脱脂粉乳在庫量、過去5カ年で2番目の高水準

同月のバターの民間在庫量は、2万5478トン(前年同月比2.9%減)とやや減少したものの、過去5カ年では前年に次いで2番目に高い在庫水準となった。脱脂粉乳の民間在庫量は、輸入量の増加により5万116トン(同4.4%増)とやや増加しており、バター同様に過去5カ年で2番目に高い水準となった。

バターの民間在庫量については、量販店などで家庭用バター不足が話題となった平成26年10月と比べ家庭用バターは20.6%増、ポンド・シートバターは63.9%増と、ともに高い水準にある。また、12月1日に当機構が農林水産省と共催で行った乳製品等需給情報交換会議においても、今年についても量販店や製菓・製パンなどでもバターの供給は安定した状況にあるとの声が得られた。

バターの大口需要者向け価格は、輸入品に加え、国産品の在庫量も十分にあることから、10月は1キログラム当たり1374円(同1.3%高)と29年4月以降の乳価改定以降はおおむね横ばいで推移している(図9)。一方、脱脂粉乳価格は、はっ酵乳・乳酸菌飲料やアイスクリーム需要などを背景に主に国産の在庫量が減少傾向にあることから、29年5月以降、緩やかに上昇しており10月は25キログラム当たり1万7917円(同2.2%高)となった(図10)。

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(畜産需給部 山神 尭基)


				

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