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◆NZ◆
生乳生産の増加を受け、乳製品国際価格は下落
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2017年10月の生乳生産量は、311万8000トン(前年同月比2.7%増)と、3カ月ぶりに前年同月を上回った(図23)。
現地専門家によると、本格的な搾乳が始まった春先(8〜9月)は、多雨により牧草生育が遅れ、生乳生産が伸び悩んだが、10月は、後半に天候が好転したこともあって、生産量が増加した。
NZ最大の酪農協であるフォンテラ社の10月の集乳量は、前年同月比2.2%増(北島は同2.1%増、南島は同2.6%増)となっており、生乳生産が全国的に増加基調にあることがうかがえる。
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2017年10月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通り、いずれも前年同月を下回った(表12、図24)。
脱脂粉乳と全粉乳は、ともに中国向けが増加したものの、脱脂粉乳はマレーシア向けが、全粉乳はアルジェリア向けがそれぞれ減少したことで、前年同月をやや下回った。
バターは、中国や中東向けが大幅に減少し、米国向けも半減したことで、前年同月を大幅に下回った。
チーズは、日本向けが増加したものの、豪州や韓国向けが減少したことで、前年同月をかなり大きく下回った。
2017年11月21日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表13、図25)。
主要4品目は、いずれも前回の結果から下落し、特に脱脂粉乳と全粉乳の価格が、前年同期と比べて大幅に下落した。現地専門家は、今回の下落の要因について、NZやEUなど主要な生乳生産国・地域がいずれも増産基調にあることを挙げている。NZドル安で推移する為替相場が、同国の乳製品輸出を一定程度下支えする方向に働いているものの、こうした国際相場の動きを受け、乳業メーカーが生産者乳価を引き下げる可能性が高いとしている。
フォンテラ社は11月14日、処理施設や家畜由来の温室効果ガスの排出量を、2030年までに2015年比で30%減、2050年には排出量ゼロを目指すとする削減目標を設定した。今回の削減目標の対象には、同社の処理施設と、傘下の酪農家の両方が含まれる。
同社は、電気自動車の導入やバイオマスなど環境負荷の小さな燃料の利用、品種改良によるメタン排出量の少ない乳用牛の開発といった、新技術の積極的な開発や導入に加え、これら新技術の商業的な利用によって、目標を達成したいとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)