需給動向 海外

◆米 国◆

生乳生産量増も乳価は高水準を維持


生乳生産量は8カ月連続で前年を上回る

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年11月20日に公表した「Milk Production」によると、10月の乳用経産牛飼養頭数は、前年同月比0.7%増の940万頭となった。また、同月の1頭当たり乳量は、同0.6%増の859キログラムとなった。この結果、生乳生産量は、同1.4%増の807万6000トンとなった(図14)。

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同月の生乳生産量を州別に見ると、最大の生産州であるカリフォルニア州は、同1.5%減の147万6000トンとなった。一方、第2位のウィスコンシン州は、同2.3%増の115万6000トンとわずかに増加した。

2017年の生乳生産量についてUSDAは、乳用経産牛飼養頭数と1頭当たり乳量の増加ペースがいずれも鈍化するとの見込みから前月の予測値を下方修正し、前年比1.6%増の9788万5000トンと見込んでいる。また、2018年については、同1.8%増の9965万4000トンと見込んでいる。

乳価は前年を上回って推移

USDA/NASSが2017年11月30日に公表した「Agricultural Prices」によると、10月の全米平均乳価は、堅調なチーズ需要により、前年同月比7.2%高の100ポンド当たり17.9米ドル(1キログラム当たり45円:1米ドル=113円)と11カ月連続で前年を上回った(図15)。

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また、酪農家のセーフティネットである酪農マージン保護プログラム(MPP)について、飼料コストが比較的安値であることから、生乳100ポンド当たりの収益は8米ドルを上回って推移しているため、2017年1〜9月では発動されていない。

チーズ生産は好調を維持

USDA/NASSが2017年11月2日に公表した「Dairy Products」によると、9月のチーズ生産量は、国内外からの堅調な需要を受けて、前年同月比2.7%増の46万トンとなった(図16)。州別に見ると、第2位のカリフォルニア州が同4.5%減となったものの、第1位のウィスコンシン州をはじめ多くの州で前年を上回った。

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バター生産量は、他品目との乳脂肪分の競合により、同0.3%減の6万1000トンとなった。最大の生産州であるカリフォルニア州は、同9.7%減の1万6000トンとかなり減少した。

バター価格は高値で推移

米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2017年10月のバター価格は、前年同月比27.7%高の100ポンド当たり232.9米ドル(1キログラム当たり580円)となった(図17)。バター価格は、国内外からの需要の高まりにより、2017年1月以降前年同月を上回って推移している。また、チーズは同8.1%高の同201.5米ドル(同502円)、脱脂粉乳は同11.9%安の同80.5米ドル(同201円)となった。

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2018年のバターおよび脱脂粉乳の価格についてUSDAは、輸出量の減少見込みなどから、前年を下回るとしている。

また、チーズ価格については、バターおよび脱脂粉乳価格の下落により、チーズへ仕向けられる生乳が増え、生産量が増加するとの見込みから、同162.5〜171.5米ドル(同405〜427円)と下落を見込んでいる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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