マレーシアでは、 1日当たり1600万個の鶏卵が生産されており、 国内需要を満た しているうえ、 さらに200万個がシンガポールに輸出されている。 輸出需要の増加 を見込んで経営規模の拡大を進める大型養鶏場が存在する一方、 年間1人当たりの 消費量が既に325個と日本並みの水準に達していることから、 生産過剰による卵価 の低迷が大きな問題となっている。コスト削減や輸出による低卵価対策
95年の卵価は、 生産過剰のため年初から低水準でスタートした。 A規格卵 (65〜 70g) の1個当たり平均価格 (農場渡し価格) は、 1月のRM14. 65セント (以下、 RMCと表記、 100RMC=約40円) から、 4月にはRMC12. 25まで下落した。 さらに、 生 産者の売り急ぎから多量の鶏卵が非規格としてRMC10以下の低価格で売却され、 多 くの生産者は1個当たりRMC3〜4の損失を被った。 このため、 生産者は、 採卵鶏の更新期間の延長、 更新規模の縮小等、 あらゆるコ スト削減対策を実施したが、 一部の種鶏場は種卵を食卵として販売し、 また、 利益 が薄いことを覚悟の上で香港に輸出した業者もあったと言われる。生産縮小により秋には相場回復
その後、 卵価は回復に向い、 5月のRMC13.48から、 10月にはRM16セントと昨年末 の水準まで回復した。 これは、 鶏卵生産者の多くが生産を大幅に縮小したためとい われている。 今後、 11月には約1カ月に及ぶ学校の休暇、 12月にはクリスマスの需要期を迎え、 2月にはチャイニーズ新年とイスラム教大祭というマレーシア最大の消費シーズン が到来する。 一方、 11月からは雨季が始まるため生産量は減少する。 従って、 卵価 は当面この水準を維持すると期待されるが、 消費シーズンが終了する来年3月頃か らは、 再び生産過剰と卵価低落が予想されており、 長期的な対策が望まれるところ となっている。
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