● 2月末に急落
94年半ば以降、 米国の牛肉生産増や日本での価格低迷から、 ほぼ一貫して値下
がり傾向で推移してきた豪州の肉牛価格は、 95年末にやや回復に向かったものの、
今年に入って再び低落傾向となり、 2月末には、 指標となる全タイプの肉牛価格
が80年代前半の水準まで一気に下落した (図1)。
3月第1週の価格は、 前年同週比でみると、 米国向け経産牛 (枝肉重量200〜
260kg)、 日本向け肥育牛 (同300〜400kgの去勢牛)、 および韓国向け肥育牛 (同
260〜300kgの去勢牛) が、 それぞれ約40%、 国内向け若齢牛 (同200kg以下) が
約30%の値下がりとなった (図2)。
● 3月も依然低迷
こうした価格の急落を受けて、 生産者の多くが肉牛の出荷を控えた結果、 3月
第3週と4週には、 さらなる値下がりにいったん歯止めがかかった。 しかし、 第
5週には、 値下がり幅が再び拡大し、 低迷状態が続いている (図2)。
価格の低迷は、 特に輸出向けの肉牛について顕著となっているが、 これは、 米
国内で牛肉生産が拡大していることの影響が大きいとみられている。 このことに
より、 米国向けの輸出が伸び悩むばかりでなく、 米国産牛肉に日本や韓国市場で
のシェアを奪われているため、 豪州の牛肉価格、 ひいては肉牛価格が低迷してい
ると考えられる。
● 米国の生産動向に注目
4月に入ってからも、 主要な輸出市場からの引き合いは依然として弱いと伝え
られている。 米国の牛肉生産量の増加はまだ続いており、 日本からの引き合いも、
4月1日からの関税引き下げにもかかわらず、 期待されたほどの動きはなかった
模様である。 ただし、 4月第1週の豪州の肉牛出荷頭数はさらに減少しているた
め、 2月末のような価格の急落には至らないとみられる。
豪州の肉牛生産者は、 今後、 米国のバーベキューシーズンや、 日本のゴールデ
ンウィークなどによる需要増が、 肉牛価格に反映されることを望んでいる。 また、
飼料穀物価格の高騰から、 米国では96年に入ってフィードロットの導入頭数が減
少しており、 4月から6月にかけてと畜頭数が減少することが見込まれているが、
このことが豪州の肉牛価格にどのように影響するのかに注目している。
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