米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○95年の貿易動向



● 輸入は前年比11. 2%の減少


 95年の牛肉輸入量は、 前年比11%マイナスの95万4千トン (枝肉換算重量、 以 下同じ) となった。 減少の背景としては、 輸入牛肉と競合する経産牛のと畜が増 えており、 価格が低迷していることが挙げられる。 95年の経産牛 (肉用及び乳用) のと畜頭数は、 前年比3%増となっており、 加工原料用牛肉の卸売価格 (赤身率 90%) は、 単純平均で前年を20%近く下回った。 ちなみに米国では、 輸入牛肉は、 主として、 ハンバーガー・パティなどの挽き材に利用されている。  国別では、 最大の供給国である豪州からの輸入量が、 前年を14%下回ったのに 対して、 第2位のニュージーランドからの輸入量は、 前年比10%の増加となった。 これは、 豪州の牛肉生産量が減少した (7%減) のに対して、 ニュージーランド では、 同生産量が前年を17%上回ったことが大きく影響している。 この結果、 豪 州のシェアは前年の37%から32%に低下したのに対して、 ニュージーランドは前 年の22%から28%へと拡大した。

● 輸出は前年比13%増と引き続き好調


 次に、 輸出についてみると、 70年代中葉以降、 ほぼ一貫して増加を続けている が、 95年についても前年比13%増の82万6千トンとなった。  国別では、 最大の輸出相手国である日本向けが、 冷蔵ものを中心に増加し、 前 年を21%上回った。 これに伴い、 シェアも前年の52%から55%へ拡大した。 なお、 8月からは冷凍輸入牛肉についてセーフガードが発動されたものの、 関税引き上 げ率が小幅 (1. 9%) であったため、 ほとんど影響はなかったものとみられてい る。  主要仕向け先のうち、 最大の伸びを示したのは韓国で、 前年比58%の増加 となった。 同国は、 ウルグアイラウンド合意の下、 2001年からは牛肉市場を自由 化することになっているが、 それまでの間、 輸入割当数量を95年の12万3千トン から、 2000年には22万5千トンにまで増加させることとなっている。  一方、 対メキシコ輸出については、 為替要因や国内需要の減退などによって、 前年比59%減と大幅なマイナスを記録した。 ペソは94年末に大暴落したが、 95年 においても依然として、 かなりペソ安の状態で推移した。  なお、 今年の輸出見込みについて米国農務省 (USDA) は、 北アジア向けなどを 中心に好調さが継続されるとして、 前年比16%程度増加すると予測し、 95年の豚 肉に引き続き、 牛肉も純輸出国に転じるものとみている。
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