世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○トウモロコシが史上最高値を更新 (米国)



● 4ドル/ブッシェルを突破


 米国のシカゴ取引所 (CBoT) のトウモロコシの先物相場は、 根強い需給ひっ迫 懸念により上昇を続け、 4月には4. 195ドル/ブッシェル (1ブッシェル=約 25.4kg) と、 80年11月以来16年ぶりに、 史上最高値を更新した。 その後も、 数日 間連続して史上最高値をさらに更新するなど、 騰勢が止まらない状況である。 小 麦などの代替関係にある穀物の相場も高い水準にあるため、 今後、 在庫が最も減 少する端境期の夏場にかけて、 緊迫した相場展開が続くとみられている。

● 在庫レポート公表が引き金


 今回の相場急騰は、 米国農務省 (USDA) が3月25日に穀物在庫の調査レポート を公表したことが直接の引き金となった。 これによると、 本年3月1日時点の全 米のトウモロコシ在庫は、 37億9千9百万ブッシェル (約9千6百万トン) と、 前年を32%も下回った。 これは、 大方の関係者の予想を1億ブッシェル以上も下 回る数値であったが、 この調査は、 USDAの聞取り調査に基づく確度の高いもので あるだけに、 その情報が直ちに先物相場に大きな影響を及ぼすこととなった。

● レイショニングは見られず


 穀物需給アナリストによると、 今回のUSDAの穀物在庫レポートは、 少なくとも 3月1日以前の数カ月の間、 レイショニング (相場高騰による需要の減退現象) がほとんど見られなかったことを示している。 通常であれば、 穀物価格がこれだ け高騰すれば、 飼料としての需要が大きく後退するはずであるが、 米国内の養鶏、 肉豚部門を中心とする飼料需要は、 相変わらず衰えを見せていない。 また、 中国、 東南アジアを中心とした、 近年伸びた穀物需要も引き続き好調であり、 これらの 根強い輸入需要が高い穀物相場を支える構造となっている。

● 作付面積の増加は不十分


 USDAは、 在庫調査レポートと同時に、 本年度の穀物作付け面積の見込みを発表 し、 本年度のトウモロコシの作付け面積は、 79. 9百万エーカーで、 前年比12% の増加になるとされた。 しかし、 穀物需給アナリストは、 この程度の増加では、 短期に需給が改善される見込みはないとみている。 また、 先日、 成立した新農業 法には穀物作付けの大幅な自由化が盛り込まれたが、 この影響が現れるのは少な くとも翌年度以降となるとみられている。 今年度の末 (8月末) には、 穀物在庫 が記録的な低水準に落ち込むと見込まれているだけに、 当面は主産地の気象状況 や作付けレポート等から目を離せない、 緊迫した穀物相場展開が続くとみられて いる。
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