EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○脱脂粉乳の価格が急落



● 96年3月には、 対前年比9. 4%の値下がり


 95年には、 堅調に推移していたEUの脱脂粉乳の価格が、 96年に入ってからは、 下落し続けている。 96年1月および2月の脱脂粉乳の生産量は (12カ国:暫定値) 合計で約15万トンと対前年比3. 3%の減少であった。 しかしながら、 脱脂粉乳の 指標価格の一つであるドイツ工場渡し価格は、 95年12月の410マルク/100kg (約 29, 900円) から96年3月には、 374マルク (約27, 300円) にまで下落した。 既 に、 ドイツを含むEU数カ国の脱脂粉乳価格は、 EU介入価格205. 52ECU (約27,800 円) を下回っている現状にある。

● 世界的な需給の緩和が原因


 このように、 脱脂粉乳の価格が急落した背景には、 ひっ迫していた世界的な需 給が、 96年に入ってからは緩和したことに伴い、 域外向けの輸出量が減少したこ と、 および配合飼料メーカーなどの買い控えにより、 域内需要が低下したことに ある。  欧州委員会は、 96年に入っても、 脱脂粉乳の国際価格の高値が続くと見込み、 96年1月に前月に続いて、 脱脂粉乳の輸出補助金を引き下げたが (54ECU/100kg (約7, 300円) から49ECU (約6, 600円) へと約10%引き下げ)、 このことも、 結 果的には現在の域外向け輸出量の減少につながった一因となったと考えられる。  また、 域内の需要も、 配合飼料メーカーが脱脂粉乳の先行きの価格低下を期待 して、 当用買いに徹する姿勢を見せたことから、 脱脂粉乳の域内価格の低下にさ らに拍車をかけることとなった。 なお、 配合飼料メーカーが買い控えの姿勢を見 せたことについては、 生乳生産者が生乳の余剰生産の抑制に向けて、 全乳哺育を 行うことにより、 配合飼料の需要が減少すると見込んだことも一因となっている。

● 今後、 介入買い入れが行われる見込み


 今後は、 搾乳のピークを迎えるため、 域内の脱脂粉乳の生産は、 増加が見込ま れる。 しかしながら、 EUの脱脂粉乳の主要輸出先であるメキシコやアルジェリア では、 国内経済の不振が続いていることから、 95年よりも輸入需要が減少すると 見込まれている。 このような状況から、 早ければ、 6月中旬にも、 欧州委員会の 決定に基づき、 脱脂粉乳の介入買い入れが実施される見込みである。 95年のよう に、 脱脂粉乳の国際価格が上昇して域外向けの輸出量が回復しない限り、 96年3 月には約10万トンにまで減少した脱脂粉乳の介入在庫量は、 再び増加することが 予想される。
元のページに戻る