米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○減少を続ける酪農家戸数



● 10年前の約半分に


 95年の酪農家戸数は、 前年比6%マイナスの14万戸となった。 最大の戸数を有 するのはウィスコンシン州で2万8千戸、 これにミネソタ州 (1万2千戸)、 ペ ンシルバニア州 (1万1, 800戸) が続いている。 一方、 93年8月にウィスコンシ ン州を抜いて最大の生乳生産州となったカリフォルニアは、 3千3百戸と極めて 少ない戸数となっており、 このことは、 1戸当たりの経営規模の大きさを示して いる。  酪農家戸数は、 毎年減少を続けているが、 95年の数値を10年前と比較すると、 ほぼ半分の水準となっている (48. 5%減)。  戸数減少が著しいのは、 競争力の 乏しい小規模層の農家が多い中西部・五大湖地方などの伝統的酪農州で、 85年か ら95年までに酪農を中止した13万2千戸のうち、 ウィスコンシン州が10%、 ミネ ソタ州が8%を占めた。

● 飼養規模は増加


 こうした酪農家戸数の減少や、 西部・南部の新興酪農州における大規模酪農経 営の発展を反映して、 一戸当たりの飼養頭数は着実に増加している。 95年の搾乳 牛平均飼養頭数は68頭で、 10年前の7割増となっている。  州別では、 軒並み規模の拡大を示しているが、 新興酪農州の方が伝統的酪農州 に比べてより大きな伸び率を記録している。 例えば、 前者について、 カリフォル ニア州が10年前の96%増、 ニューメキシコ州が233%増、 テキサス州が217%増と なっているのに対して、 後者は、 ウィスコンシン州が20%増、 ミネソタ州が29% 増、 ニューヨーク州が29%増となっている。 新興酪農州において、 より大規模な 拡大を可能にしている要因としては、 地価が安いこと、 安価な労働力が豊富にあ ること、 流通粗飼料の供給が潤沢にあること、 乾燥した気候で乳牛の管理が容易 なこと、 などが挙げられる。

● 96年農業法で、 強まる戸数減少傾向


 先頃成立した96年農業法では、 酪農関連措置として、 2000年までに乳製品 (バ ター、 脱脂粉乳、 チーズ) の価格支持制度を廃止することや、 プール乳価の対象 となるミルクマーケティングオーダー地域の整理削減などが定められている。 こ うしたことから、 今後、 牛乳・乳製品市場がより競争的になることは避けられず、 競争力のない酪農家は、 これまで以上に離脱するため、 戸数の減少傾向は、 今後 一層強まることが予想される。  この厳しい見通しの一方で、 今後は酪農家の生産性が向上し、 ひいては乳製品 の競争力が強化されるため、 酪農関係者の間では、 将来の乳製品輸出の増加やこ れに伴う所得増などを見込んだ楽観論もあるようだ。
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