台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○最近の肉豚需給動向



● 肉豚価格は依然高値傾向


 肉豚の市場価格は、 12月から輸出自主規制が続いているにもかかわらず高値で 推移している。 これは、 豚肉の輸出量は大幅に減ったものの、 パッカーが肉豚生 産者との協力関係を重視して、 購入頭数を減らしていないことによるものである。 肉豚価格は、 3月に入りやや弱含み傾向を示しているものの、 下旬に実施された 総統選挙のインパクトもあって、 3月末の時点では、 全ての市場において6, 000 元/100kg以上を維持している。 このように、 と畜数が輸出環境の変化にあまり 左右されないことから、 今後とも現状水準に近いと畜量が維持されるとみられる。

● 輸出業者は4・5月に自主規制を実施


 一方、 対日輸出関係について見ると、 業界の推計では、 3月末近くの台湾側の 冷凍豚肉在庫を3万トンとみているが、 これに既に日本に輸出され、 未通関とな っている数量が加算されることになる。 4月には輸入豚肉緊急措置 (SG) が解除 されて、 基準輸入価格が引き下げられたことから、 先ずはこれらの在庫品が順次、 通関又は輸出されることが確実視されている。 このため、 台湾の輸出業者は、 第 1四半期のSGのトリガーレベル (15万2千トン強) を念頭に置いて、 4〜5月の 2カ月間においても、 輸出量を6万トン以下とする自主規制を行うことを決めて いる (昨年12月からの自主規制は3月20日に終了している)。 しかしながら、 4 月以降は他の豚肉輸出国からの輸入も増えることが予想されることから、 この自 主規制の影響度合いを現時点で見通すことは困難である。 こうしたことから、 か つて、 わが国の豚肉輸入の5割を占めた台湾の豚肉生産・輸出動向に関心が集ま っている。

● 今後の肉豚生産政策を検討中


 こうした中、 行政院農業委員会は、 高値に刺激された生産過剰による暴落を警 戒して、 以前から生産抑制を求める行政指導を行ってきた。 また、 環境問題の深 刻化等から、 国の制度により増頭や新規参入を厳しく制限してきたため、 台湾の 豚群は約1千万頭に抑えられている。 本年度 (6月末終了) でその5年間の制度 が終了するが、 今後の養豚政策の方向付けは現在検討中とのことである。 諸般の 環境問題、 需給事情からみると、 増頭方針へ転じる要素は、 今のところなさそう だ。
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