調査レポート 

東南アジアの畜産物と域内貿易自由化

シンガポール長期出張者 末國富雄、 山田 理

はじめに


 新聞に東南アジア関連の経済記事が掲載されない日がないほど、 今、 東南アジ アは経済的に活気づいている。 訪れれば、 会う人々の見せる自信や至るところ工 事現場である街並みの活気からも、 それはうかがい知ることができる。 日本が GDP実質成長率1%と報道されている中で、 ASEANメンバー国のそれは7〜8%が 普通である。 そして話題になる国が次々に登場する。 高度成長を遂げつつある国 には外国からの投資が集中し、 それによってさらに経済が加速されていく。 この ような国は、 中国に次いでベトナムであり、 ミャンマーであった。 最近では95年 の日本からの投資額が前年の6倍にもなったというフィリピンであろうか。 経済 の活況を背景に政治的な発言力も次第に向上しつつあるように思われる。 加えて、 「開発独裁」 という言葉に表されるようにASEANメンバー国の政治的な安定度は高 く、 指導者の発言力は強い。 多くの日系企業が日本国内の高い生産コストを嫌っ てASEAN域内に生産拠点を設け、 雇用創出や技術移転、 製品の輸出によって外貨 を獲得し、 これらの国の政府に歓迎されている。 日本でもすっかり定着したタイ やマレーシア産の電気製品はこの良い例であろうか。  このような進出企業や地元企業の活動は、 生産資材や生産物の市場を求めて対 象地域を次第に拡大する。 94年1月から具体的活動を開始したASEAN自由貿易地 域 (AFTA) 構想とは、 まさにそのような経済的な要求に沿ったものであり、 その 実現を通じてASEAN域内貿易の飛躍的な拡大を意図したものである。 事実、 AFTA の下に創設された域内特恵関税 (CEPT、 具体的には後述) が適用される産品の域 内貿易額は、 93年が632億ドル、 94年が926億ドルと大幅に増加している。  本稿で述べるのは、 このような状況の下でASEANメンバー国の畜産の現状がど のようになっているのかというのが第一点である。  東南アジアの畜産は変化が大きいのが特徴である。 経営形態を見れば、 地鶏の 放し飼いや農耕用の役畜飼育から大規模かつ近代的な養豚、 養鶏経営まで混在し ている。 また、 畜産に対するその国の姿勢も、 例えばシンガポールとタイとでは 大きく異なる。 さらに、 同じ国の中でも畜産を取り巻く環境は大きく異なってい る。 例えば、 インドネシアのジャカルタ市を含む西ジャワは人口と域内総生産高 で 「東南アジアの先進国」 マレーシアに匹敵するといわれるが、 その同じ国の東 の端では物質文明とは無縁の自給自足社会が存在する。 平均値の持つ意味は日本 よりはるかに軽い。  しかしながら、 各国とも工業化の推進による経済発展を最重要課題として据え、 あらゆる方法で外国企業の投資誘引に懸命である点は共通である。 都市近郊や工 業団地周辺の農業振興はやや影を潜め、 農地の減少や農産物の収穫高の減少とい った事態も引き起こされている。 飼料原料の生産減あるいは停滞もある。 経済の 発展は、 一方で、 工業分野などで働く都市居住者層の所得を確実に押し上げてい る。 その結果として、 畜産物需要が拡大している。 生産の拡大が比較的容易な養 豚や養鶏は国内生産の拡大で対応しているが、 拡大が容易ではない牛肉や乳製品、 そして飼料原料は輸入量が急増し、 既存の畜産や農業を脅かしている。  これが東南アジアの畜産を取り巻く一般的な状況であり、 東南アジア各国はこ のような事態に対し様々に対応している。 後述するASEAN自由貿易地域の実現の ための関税引き下げ計画には、 このような各国の取り組みが微妙に反映されてい る。   第二点は、 日本との畜産物貿易がどうなっているのかという点である。  東南アジアは日本が輸入する鶏肉の22% (95年、 数量ベース) を占めているが、 畜産物全体ではわずかに6% (同) を供給しているに過ぎない。 また、 日本の市 場として見た場合は、 日本が輸出する畜産物の2% (同) を輸入するマイナーな 市場である。 鶏肉を別にすれば、 日本国内から見た東南アジアは、 重要度の低い 生産地域であり市場ということになる。 日本の畜産関係資料に東南アジアのデー タが欠落するのも無理はない。  第三点は、 96年1月から畜産物を含む未加工農産物の関税削減を開始したAFTA についてである。 さらに、 ASEANと日本の共通する問題について、 若干、 ASEAN側 に立った日本への期待についても述べる。  なお、 ここでは、 「畜産物」 として、 牛肉 (HS関税コード、 0201, 0202)、 豚肉 (同、 0203)、 鶏肉 (同、 0207)、 乳製品 (同、 0401〜0406)、 鶏卵 (同、0407,0408) だけを対象とした。 羊肉や馬肉、 くず肉、 ハム・ソーセージ類は、 東南アジアの 対日貿易実績がなく、 食肉加工品や乳調製品は取り扱いが煩雑なので集計から除 外した。

東南アジアの畜産の現状


 東南アジアの畜産は変化が大きいことを既に述べたが、 東南アジア10カ国を国 別に見ると、 畜産物の需給動向によって3つに区分できる。  第1の区分は、 「輸入依存型」 である。 国内生産がほとんどなく、 畜産や農業 の振興が国の重要政策として取り上げられていない国で、 ブルネイとシンガポー ルがこれに該当する。 表−1にシンガポールの畜産物需給の概要を示したが、 国 内の畜産は、 酪農と採卵養鶏とアヒルの飼育だけである。 ただし、 生産物の品質 は高い。 所得が高く、 世界各地から輸入される畜産物の小売価格か安いため、 消 費水準は非常に高い。 ただし、 シンガポールの場合、 人口の2倍を超える観光客 と多数の外国人労働者は人口に含まれていないため、 1人当たり年間消費量は1 割ほど高めの推定になっている。 この2国は既にほとんどの農産物の関税率がゼ ロであり、 国内畜産業の振興政策も取っていない。 逆に、 輸出市場拡大を意味す るAFTAと工業製品などの輸出促進を図りたい両国の国益が一致することからAFTA の推進役である。  第2の区分は、 東南アジアの 「畜産主要国」 である。 国内に極端に企業化の進 んだ部分と、 伝統的な家畜・家禽飼育のままの変化のない (変われない) 経営と が同時に存在する。 前者は、 日本向けのブロイラー生産業に代表される大型資本 による大規模な企業経営である。 例外はあるにしても大規模経営はほとんど養豚 と養鶏に限られる。 後者は、 粗放な養豚や養鶏のほか、 役畜飼育とその結果の (水) 牛肉や (水) 牛乳の生産である。 大規模経営による広域 (国際) 流通畜産 物の生産量が相当量あり、 政策的にも積極的な拡大を志向している。 この区分に は、 タイ、 マレーシア、 フィリピン、 インドネシアの4カ国が該当する。 表−1 にこれらの国の畜産物需給状況を示した。 表ー1 東南アジアの畜産物需給(94年) (単位:千トン) ──────────────────────────────────── 国 名 牛 肉 豚 肉 鶏 肉 乳製品 鶏 卵 ──────────────────────────────────── インドネシア 生産量 412 183 758 389 580 [790] 過不足 - 13 0 - 3 - 484 + 71 (189) 一人当り 2.2 8.1 4.0 4.6 2.7 ──────────────────────────────────── マレーシア 生産量 14 249 594 31 355 [3,520] 過不足 - 55 + 70 + 76 - 505 + 41 ( 19) 一人当り 3.6 25.6 27.3 28.2 16.5 ──────────────────────────────────── フィリピン 生産量 99 379 133 14 (241) [960] 過不足 - 26 0 - 1 - 1,058 - 2 ( 66) 一人当り 1.9 5.7 2.0 16.2 3.7 ──────────────────────────────────── シンガポール 生産量 0 0 0 2 22 [23,360] 過不足 - 14 - 77 - 124 - 245 - 44 ( 3) 一人当り 4.7 25.7 41.3 82.3 22.0 ──────────────────────────────────── タ    イ 生産量 175 585 (1,005) 338 464 [2,210] 過不足 - 1 - 5 + 683 * * ( 59) 一人当り 2.9 10.0 5.5 1.9 4.0 ──────────────────────────────────── 日    本 生産量 602 1,390 1,632 8,389 2,569 (125) 一人当り 8.0 11.5 10.5 89.2 17.8 ──────────────────────────────────── (資料)各国畜産局資料および貿易統計、コンサルタント報告 (注)1.( )内は93年の値 2.過不足欄は消費量と生産量の差、+ は余剰、- は不足、* は不明 3.乳製品は生乳換算値、食肉は枝肉換算値 4.国名の下の[ ]内は、一人当たりGDP(US$)、( )内は人口 (百万人) 5.「一人当り」欄は、一人当たり年間消費量を表す。単位はkg/年 6.マレーシアとインドネシアの「一人当り」豚肉消費量は、イスラム人口 を除いて算出した。 7.日本の値は、畜産物流通統計、牛乳・乳製品統計、食糧需給表による。  この中では、 マレーシアの畜産物消費水準の高さが顕著であり、 タイはGDPに 比較して低い消費水準に留まっている。 各国とも、 豚肉と鶏肉・鶏卵に関して輸 出余力があるか、 あるいはその可能性がある一方、 牛肉と乳製品の需要は満たさ れておらず相当量の輸入でまかなっている。 牛肉の消費水準は食習慣とも関連し て全体的に低いが、 輸入素牛を肥育するフィードロットがここ数年急増しており、 オーストラリアの供給する素牛当数は95年で30万頭を超えたものと推定される。 国内の種畜資源が貧弱なため、 急増する国内需要に対応できないものと思われる。 牛乳に関しても同様である。 各国とも自立農民の育成策や国民の栄養改善などの 観点から酪農の振興に努力しているが、 土地が少なく飼料作物の手当てが困難な のが実態である。 経営規模拡大の余地は限られており、 加えて、 熱帯の高温下で は生乳の流通範囲は限られる。 消費形態も粉乳や練乳を紅茶やお湯に溶かして飲 むのが一般的であり、 LLを含む飲用乳の消費は都市に限定されている。 国産乳の 生産は伸びず需要だけが急増しているため、 乳業メーカーは原料を国産よりも豪 州などから輸入した脱脂粉乳などに依存することになる。  この4カ国もASEANメンバー国であり、 必然的にAFTAに参加している。 しかし ながら、 「輸入依存型」 グループと違って国内の畜産物生産量も多く、 人口の相 当部分が農畜産業に従事している。 政府も農業や畜産の振興計画を推進しており、 CEPT引き下げは直ちにその中の小規模生産者階層に影響する。 ただ、 同時に輸出 志向型の畜産企業も存在しており、 工業分野での国内産品の輸出拡大と併せて CEPT引き下げ推進派を構成する。 後述するCEPT適用除外問題と絡めて、 今後とも 国内において複雑な対応が迫られるグループである。  第3区分は、 「発展途上型」 である。 ベトナム、 カンボジア、 ラオス、 ミャン マーの4カ国がこれに該当する。 ただし、 これらの国の畜産関連情報は少ない。  これらの国々は、 農業人口比率が非常に高く、 畜産は粗放な養豚や養鶏のほか、 役畜飼育とその結果としての牛肉や牛乳の生産によって成り立っているが、 畜産 物として流通する量は少ないと見込まれる。 しかし、 ここ1〜2年に限って見る と、 ベトナムでは養鶏分野に日系の会社も進出し、 対日輸出も急増している。 そ の99%は鶏肉である。 また、 ミャンマーにもここ半年で養鶏分野に外国資本が導 入されつつある。  ベトナムは95年7月末にASEANに加盟しており、 カンボジアとラオスも97年で の加入をめざしている。 ミャンマーは昨年12月にバンコクで開催された第5回 ASEAN首脳会議に初めて議長国ゲストとして参加しており、 今年の夏にはASEANオ ブザーバーという、 加入を前提とした資格が与えられる見込みである。 ● 頻発する家畜伝染病
 牛疫、 口蹄疫など悪性伝染病に汚染されていない清浄国は、 世界に27カ国 (地 域) だけで、 東南アジアに該当する国はない。 さらに準清浄国 (地域) も12しか なく、 東南アジアで含まれるのは、 農業そのものをほとんど行っていないシンガ ポールだけである。 広くアジアにまで対象を広げても、 清浄国は日本のほかに韓 国、 台湾の3カ国、 準清浄国は中国だけである。 ここでいう準清浄国とは、 一定 の制約はあるものの少なくとも生体家畜の対日輸出が可能な国である。 東南アジ アのすべての国が、 偶蹄類に関しては、 その食肉、 生体とも輸入禁止であり、 一 定条件を満たす施設で加熱処理された加工肉だけが日本向けに輸出できる。  東南アジアでは口蹄疫の発生がよく報道される。 フィリピン、 マレーシアから は過去1年以内の発生が報道されたし、 タイ南部でも発生があるといわれている。 3月上旬には香港でも口蹄疫によって養豚場が被害を受けていることが現地紙に 報道された。  東南アジアでは、 家畜は 「食肉貯蔵庫」 として生体流通が一般的であり、 密貿 易も少なからずあるといわれている。 また、 イスラム教国では年1度、 生け贄祭 のため集中的な出荷と大規模な素人と畜が行われており、 これについては各国と も所管官庁 (畜産局など) のコントロールの及ばないところである。 このような 習慣のため、 悪性伝染病をこれらの地域から根絶するのは大変な努力が必要であ り、 発生が続いているところを見ると対策が後れている。 畜産物貿易上の致命的 な欠陥であるといえよう。  ただし、 タイでは特定の清浄地域を設定し、 そこで生産された豚肉を輸出する 計画について、 政府も前向きの意向を明らかにしている。 ● 飼料資源の制約と輸入増加
 東南アジアの一部の国では、 以前は、 トウモロコシやくず米など飼料原料は比 較的豊富であった。 タイがブロイラーの対日供給基地となったのも、 豊富な飼料 原料がそもそもの出発点であったといわれる。 現在のフィリピンも約500万トン の生産量がある。  しかしながら、 畜産物の需要増加に伴う各国政府の生産振興策にもかかわらず、 飼料原料の生産量は次第に低下する傾向にある。 タイのトウモロコシ生産量は、 1985年に最高の493万トンを記録したが、 現在では330万トンまで減少しており、 92〜94年の3年間でも年率6%を超える減少率である。 インドネシアでも同様の 傾向にあり、 フィリピンでは今年3月、 今まで輸入していなかったトウモロコシ を一気に40万トン近く輸入する計画が明らかになった。 飼料原料の国内生産量の 減少の理由は、 他のより有利な作目への転作もあるが、 養豚、 養鶏および飼料業 界が国内産の不足と価格高騰を理由に飼料原料の輸入関税引き下げを政府に要請 し実現してきたという経緯も見逃せない。  表−2に主要な飼料原料の輸入状況を示した。 表に示した4カ国の中でマレー シアは飼料原料の国内生産がほとんど無く、 各飼料原料をまんべんなく輸入して いる。 インドネシアはここ数年で輸入量が急増しており、 94年にはマレーシアと 同様の自給率となった。 また、 フィリピンは自給率が高かったが、 先に述べたよ うに96年にはトウモロコシの輸入を開始した。 タイが不足に悩んでいるのは大豆 ミールである。 表ー2 東南アジアの資料原料輸入動向 (単位:千トン) ──────────────────────────────────── 国 名 1992年 1993年   1994年 ──────────────────────────────────── インドネシア 輸入量 968 1,702 2,636 比 率 6:72:18: 5 29:43:21: 7 42:30:19: 9 ──────────────────────────────────── マレーシア 輸入量 1,601 1,676 1,844 比 率 43:32:20: 1 51:30:18: 1 47:26:25: 1 ──────────────────────────────────── フィリピン 輸入量 799 982 905 比 率 0: 7:85: 9 0: 6:84:10 0:15:73:12 ──────────────────────────────────── タ    イ 輸入量 1,289 722 1,148 比 率 35:12:49: 4 1: 6:83:10 1: 4:79:17 ──────────────────────────────────── (資料)各国畜産局資料および貿易統計、コンサルタント報告 (注)1.対象としたのは、メイズ(1005)、大豆(1201) 大豆ミール(2304)、魚粉(1501)で、その合計値を記載した。 ( )内はHSコード 2.比率は輸入量に占める各原料の割合(%)を示す。 3.タイの大豆の94年データがないため、93年お値を代入し補完した。  このような不足の何よりの原因は養鶏や養豚の生産拡大であり、 経済発展に裏 打ちされた畜産物需要の拡大である。 さらに工業やサービス産業の発展に伴って、 農地そのものの減少や収益性の低い飼料作物からより市場性の高い作物への転作 も起こっている。 1昨年に中国が飼料の輸入国に転じ、 現在も多量の穀物の輸入 を行っているが、 同様の現象が東南アジアでも起きているのである。  東南アジアの畜産は、 鶏肉生産の分野には輸出型企業も存在し、 幾つかの国で さらに生産拡大が図られているとはいうものの、 国内畜産物需要の増加、 悪性伝 染病の存在、 飼料資源の制約などからして、 今後、 域外への輸出余力が拡大する ほどの生産増加があるとは思われない。 生産は増加するとみられるが、 それは国 内や域内で消費され、 不足分、 特に乳製品については大きな輸入市場になると見 るべきだはないだろうか。

日本と東南アジアの畜産物貿易


 もともと東南アジアは、 畜産物の生産量そのものが少なく、 また、 頻発する家 畜伝染病のため、 鶏肉など一部の畜産物を除いて日本との貿易上の関係は希薄で あったし、 現在もその状態に大きな変化はない。 表−3に日本の東南アジア諸国 との全体の貿易動向を示した。 また、 表−4に品目別の貿易動向を示した。 なお、 これらの表の乳製品や加工卵に関しては、 生乳換算あるいは殻付き換算を行わず、 貿易統計値をそのまま使用した。 表ー3 日本の対東南アジア貿易動向(畜産物全体) 1.数量ベース(単位:トン) ──────────────────────────────────── 国 名   1992年  1993年 ─────────────────────────── 輸入 輸出 輸入 輸出 ──────────────────────────────────── ベトナム 23 0 17 - タ    イ 146,885 1 126,891 2 シンガポール 45 45 67 52 マレーシア 183 - 265 - ブルネイ - - - 1 フィリピン - 2 - 1 インドネシア 828 1 900 32 カンボジア - 5 - 5 ──────────────────────────────────── 東南アジア計 147,964 54 128,140 94 ──────────────────────────────────── 対前年比 - - 87 174 ──────────────────────────────────── 貿 易 計 1,807,074 8,010 1,842,180 6,394 ──────────────────────────────────── 対前年比 - - 102 80 ──────────────────────────────────── 東南アジア比 8 1 7 1 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 国 名 1994年 1995年 ────────────────────────── 輸入 輸出 輸入 輸出 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ベトナム 342 - 427 11 タ    イ 117,492 19 118,257 18 シンガポール 1 97 5 31 マレーシア 220 0 510 1 ブルネイ - 1 13 1 フィリピン - 0 11 - インドネシア 283 26 300 2 カンボジア - - - - ──────────────────────────────────── 東南アジア計 118,338 144 119,522 64 ────────────────────────────────────  対前年比 92 153 101 44 ──────────────────────────────────── 貿 易 計 2,023,366 4,241 2,102,910 3,387 ──────────────────────────────────── 対前年比 110 66 104 80 ──────────────────────────────────── 東南アジア比 6 3 6 2 ──────────────────────────────────── 2.金額ベース(単位:百万円) ──────────────────────────────────── 東南アジア計 47,714 104 33,423 157 ──────────────────────────────────── 対前年比 - - 70 151 ──────────────────────────────────── 貿 易 計 856,210 1,458 787,957 1,254 ────────────────────────────────────   対前年比 - - 92 86 ──────────────────────────────────── 東南アジア比 6 7 4 1 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 東南アジア計 32,349 164 31,727 137 ──────────────────────────────────── 対前年比 97 109 98 84 ──────────────────────────────────── 貿 易 計 819,633 1,074 851,275 935 ──────────────────────────────────── 対前年比 104 86 104 87 ──────────────────────────────────── 東南アジア比 4 15 4 15 ──────────────────────────────────── (注)1.畜産物は、HSコード(0201,0202,0203,0207,0401〜0406,0407,O4O8) に含まれるものの合計とした。 2.「ー」は該当なし、「0」は500kg未満 3.「東南アジア比」とは、世界全体(貿易計)に対する東南アジア分の 貿易量の比 4.本稿で東南アジアに含めた国は、フィリピン、ベトナム、タイ、カンボ   ジア、ラオス、ミャンマー、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、イ ンドネシアの10カ国である。 記載のないのは「実績なし」を意味する。 表ー4 日本の対東南アジア貿易動向(品目別) (数量ベース、単位トン) ──────────────────────────────────── 品 目 項 目 1992年  1993年 ───────────────────── 輸入 輸出 輸入   輸出 ──────────────────────────────────── 牛 肉 東南アジア - 5 4 6 (0201,0202) 貿 易 計 411,551 45 511,553 49 ──────────────────────────────────── 豚 肉 東南アジア - 0 10 0 (0203) 貿 易 計 479,425 79 457,236 99 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 東南アジア 145,742 0 126,426 0  対前年比 - - 87 - ───────────────────────────── ───────────────────────────── 鶏 肉 東南アジア 406,583 7,471 401,844 5,636 (0207)  対前年比 - - 99 75 ───────────────────────────── 東南アジア比 36 0 31 0 ──────────────────────────────────── 乳製品 東南アジア 45 46 62 82 (0401〜0406) 貿 易 計 259,225 402 245,515 543 ──────────────────────────────────── 鶏 卵 東南アジア 2,155 0 1,628 6 (0407,0408) 貿 易 計 15,726 11 17,437 33 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 品 目 項 目 1994年 1995年 ──────────────────────  輸入 輸出 輸入 輸出 ──────────────────────────────────── 牛 肉 東南アジア 24 8 - 8 (0201,0202) 貿 易 計 588,609 47 648,739 49 ──────────────────────────────────── 豚 肉 東南アジア - 0 - 0 (0203) 貿 易 計 493,903 78 580,675 54 ──────────────────────────────────── 東南アジア 117,569 0 118,701 0 対前年比 93 - 101 - ───────────────────────────── ───────────────────────────── 鶏 肉 東南アジア 455,395 3,347 550,794 2,797 (0207)  対前年比 113 59 121 84 ───────────────────────────── ───────────────────────────── 東南アジア比 26 0 22 0 ──────────────────────────────────── 乳製品 東南アジア - 136 5 44 (0401〜0406) 貿 易 計 266,116 551 301,708 448 ──────────────────────────────────── 鶏 卵 東南アジア 739 0 816 12 (0407,0408) 貿 易 計 18,070 9 20,905 39 ──────────────────────────────────── (注)記載方式は、表ー3と同じ ● 低調な東南アジア畜産物貿易
 畜産物の東南アジアからの輸入量は、 日本の世界各国からの輸入量が着実に増 加する中で、 量的にも金額的にも減少している。 これは輸入の中心である鶏肉で、 中国の台頭のあおりを受けてタイ産の輸入割合が急減しているためである。 95年 の輸入量は約12万トン、 320億円で、 輸入全体量の6% (数量ベース) にしか過 ぎない。 このうちの99%をタイが占めており、 そのタイの内訳のほとんど (99%、 11万7千トン) が鶏肉である。 鶏肉は他にもマレーシア、 ベトナム、 インドネシ アから合計で1千余トン (95年) ほど輸入されているが、 最近のベトナムからの 輸入急増が注目される。  一方、 日本の畜産物輸出は、 全体の6割を占める香港向け鶏肉 (モミジ?) の 急減の影響から大幅な減少傾向にある。 95年の輸出量は約3千400トン、 金額に して9億円であり、 92年水準と比較すると数量で6割、 金額で4割も低下した。 このうち東南アジア向け輸出量は、 93、 94年と着実に伸びてきたのだが95年に入 って前年の4割水準にまで低下した。 恐らくは円高のためであろう。 95年の輸出 は、 全輸出量の2%、 64トンである。 そのほとんどはシンガポール、 タイ向けの 乳製品であり、 残りは12トンが主にベトナム向けの殻付き鶏卵と8トンほどの牛 肉である。 特徴的なことは、 数量的には輸出量の2%であるが、 金額的には15% に跳ね上がることである。 その原因は単価の高い牛肉の割合が高いことで、 牛肉 は輸出量の15%が東南アジア向けとなっている。 東南アジアに在留する日本人の 増加を反映したものであろうか。  ちなみに、 香港やシンガポールで日本製畜産物の品質の高さが地元の人に評価 されているという話を聞く。 少々の高価格をものともしない高所得階層の増加も 事実であろう。 しかし、 それで消費が拡大するかと云えば、 そうはならないので はないか。 95年の円高で輸出量が萎縮したのはその限界を示すものとみる。 日本 の畜産物は、 東南アジアでは値段が 「高すぎ」 るようである。 ● 増加する調製品の対日輸出
 表−3や表−4には、 加工品や調製品を含んでいない。 その動向の一端を明ら かにするため、 表−5に食肉加工品 (加熱調理品など、 HS 「1601」、 「1602」)と乳 調製品 (HS 「1901」) の貿易動向を示した。 95年の食肉加工品の東南アジアから の輸入数量は約2万5千トン、 円高によって輸入量全体が急増したため東南アジ ア比は18%とやや低下したが数量そのものは継続して増加している。 また、 乳調 製品も全体輸入量に対する東南アジアからの輸入割合が3割を超え、 大幅な増加 傾向で推移してきた。 ただし、 95年の東南アジアからの輸入は、 前年の75%の8 万5千トンに低下した。 乳成分を含む調製品の種類は非常に多く全体把握はなか なか困難であるが、 関税分類コード 「2106」 の調整食料品が引き続き増加してい ることから、 需要が他の品目の調製品にシフトしたのではないかと思われる。 表ー5 日本の対東南アジア貿易動向(調整品) (数量ベース、単位:トン) ────────────────────────────────────     食肉加工品 ─────────────────────────── ───────────────────────── 1992 1993 1994 1995 ──────────────────────────────────── 東南アジア 9,563 13,097 19,687 25,277 ──────────────────────────────────── 対前年比(%) - 137 150 128 ──────────────────────────────────── 貿 易 計 80,272 91,052 99,558 140,003 ──────────────────────────────────── 対前年比(%) - 113 109 141 ──────────────────────────────────── 東南アジア比 12 14 20 18 ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────    乳調整品 ─────────────────────────── ──────────────────────────    1992 1993 1994 1995 ──────────────────────────────────── 東南アジア 62,353 84,737 113,071 84,850 ──────────────────────────────────── 対前年比(%) - 136 133 75 ──────────────────────────────────── 貿 易 計 194,791 246,049 343,605 320,047 ──────────────────────────────────── 対前年比(%) - 126 140 93 ──────────────────────────────────── 東南アジア比 32 34 33 27 ──────────────────────────────────── (注)1.食肉調整品は、関税分類コード「1601」と「1602」に含まれるもの とした。 2.乳製品は、「1901.10」、 「1901.20」、 「1901.90」に含まれる ものに限定した。  調製品の輸入増加が意味するところは、 今後の東南アジアからの畜産物輸入の 1つの方向性を示すものと思われる。 今後、 東南アジアは加工品や調製品の対日 供給基地としての役割をさらに拡大するのではないだろうか。

AFTAとCEPT


 ASEAN域内の貿易自由化、 具体的には2003年までに畜産物を含む域内産品のほ とんどの輸入関税を0〜5%の範囲内に削減しようという計画 (CEPT計画) は、 1994年1月より実施に移され、 96年1月からは未加工農産物も関税削減が開始さ れた。 関税率は国や品目によって大きく異なるとは云いながらも、 畜産物の例で は、 基本税率が20〜50%の高率に設定されている中で、 域内だけとはいいながら も、 わずか8年間でこれを0〜5%に引き下げるというのはいかにも大幅である。 この制度が域内の貿易量を拡大し、 畜産物にもより大きな市場を提供するもので あることは明らかであるが、 先の分類でいうところの 「畜産主要国」 やこれから ASEANに加入する 「発展途上国」 がこれを消化できるのかどうか。 インドネシア からは、 早くもセンシティブ品目の2010年の自由化達成が困難という声が聞こえ てきている。 ● 経過
 ブルネイ、 インドネシア、 マレーシア、 フィリピン、 シンガポールおよびタイ の6カ国のASEANメンバー国が、 その域内の経済と貿易の発展のために自由貿易 構想に合意したのは1976年である。 これに基づいて翌77年にASEAN特恵貿易協定 を結び、 6カ国間での特恵貿易を開始したが、 十分な効果は認められなかったと いわれている。 その頃はASEAN各国の経済的な発展の程度が、 シンガポールを除 くとまだ不十分で、 域内貿易の必要性はまだ低かったようである。 改めて、 その 必要性を指摘したのが87年にマニラで開催された第3回首脳会議である。 ASEAN 域内での貿易と経済協力の強化を宣言した。 この流れを受けて、 92年1月にシン ガポールで開催された第4回首脳会議では、 域内での貿易と投資の自由化を促進 するために共通効果特恵関税 (以後 「CEPT」 という) を設け、 かつ2008年 (95年 に2003年に繰り上げ) を目標にその関税率を0%〜5%にまで引き下げるという ASEAN自由貿易地域 (AFTA) の創設が署名された (以後 「CEPT協定」 という)。 メ ンバー国はあらかじめ提出したCEPTの引き下げ計画表に基づいて、 関税率の引き 下げを行い、 ジャカルタのASEAN事務局がその実施状況をモニターする仕組みで ある。 同事務局は、 同時に、 定期的な事務協議から経済閣僚会議、 首脳会議に至 る舞台回しを行っている。 昨年9月にASEAN加盟を果たしたベトナムは、 CEPT協 定の実施が3年猶予され、 98年1月からの実施となっている。 ● CEPTと農産物
 CEPT協定の対象となる品目は、 機械や設備など資本財を含む工業製品、 加工農 産物および未加工農産物である。 6桁のHS関税コードで表すと、 対象品目数は5 千を超える。 まず、 認識しておかなければならないことは、 農産物はCEPT協定の 中心を占める産品ではなかったことである。 逆に設立当初は、 未加工農産物はむ しろ除外されていた。 農業に占める人口割合は高いものの貿易に占める農産物の 割合はわずかであり、 さらに各国とも志向するのは工業製品の輸出拡大である。 やや古い資料であるが、 91年のASEAN農産物貿易 (輸出入合計) 額は、 域内が60 億ドルと、 日本の畜産物輸入額の約7割に相当するものでしかなく、 ASEANの全 貿易額3390億ドルの2%を占めているに過ぎない。  これは、 当時わずか6カ国といえども、 ASEAN各国の経済発展状態には大きな 開きがあり、 その差が農業に極端に現れることから調整の困難を予想したためと 思われる。 それが94年のGATT合意を受けて大きく方向転換し、 同年にタイのチェ ンマイで開催されたASEAN経済閣僚会議では、 未加工農産物もCEPT協定に含める ことが合意されたのである。  この辺の経緯をAFTA資料によって説明すると、 「多くのメンバー国にとって、 農村人口の相当部分が農業に従事しており、 これまで農業に関しては手厚い保護 がなされてきている。 急激な保護の削減は失業の増大と社会的な混乱を引き起こ す可能性がある」 として農業分野への配慮の必要性を述べ、 そして、 「農業分野 の保護レベルを引き下げることと貿易自由化によるメリットをバランスさせる試 みである」 としてCEPT協定推進の意義を説明している。  以下にCEPT協定の根幹部分である40%ルール、 緊急避難措置、 非関税障壁の削 減の概要を説明する。 (1) 40%ルール  あらゆる産品がCEPT協定の対象となるのであるが、 そこには 「その産品成分の 40%を超える量がメンバー国 (複数を含む) の原産である」 ことという条件が付 く。 この点を農産物についてより具体的にいうと、 次のいずれかの条件を満たせ ばCEPT協定に適合することになる。 (a) その産品が、 当該輸出メンバー国によって収穫された農産物か、 生産され、 かつ育成された家畜であるか、 その家畜から生産された産物であるとき。 (b) ある産品の (a) の条件を満たす成分の割合かメンバー国の合計で40%を越 えるとき。 (c) 原産地の特定できない成分を含む場合は、 FOB価格に占めるその割合が60% 以下で、 かつ最終加工工程が当該輸出メンバー国で行われたとき。  40%ルール確立のため、 輸出側メンバー国政府は、 証明手順についてSEOMと協 議の上で、 CEPT協定に適合する旨の原産地証明書を発行する。 (2) 緊急避難措置  CEPT協定を実施した結果、 CEPT協定の条件に適合する特定産品の輸入が大幅に 増加して輸入メンバー国の関連産業を傷つける原因となるか、 その可能性がある 場合、 輸入メンバー国は救済措置を実施するに必要な範囲と期間、 CEPTの供与を 停止することや輸入の量的制限などの手段をとることができる。 これは、 GATT/ WTOとも共通する措置であり、 当該メンバー国が緊急避難措置を取る場合には AFTA理事会にすみやかに通報することになっている。 (3) 非関税障壁の削減  CEPT協定が実施しようとしているのは、 関税引き下げだけではない。 輸入割当、 外国為替制限、 付加課税など非関税障壁の削減や通関手続きに関する整合性の拡 大も進めている。 例えば、 現在各国バラバラ (HSコードとSITCコード) である通 関コードは、 96年末までにはHSコードに一本化し、 さらに8桁までの統一コード を採用することが決定されている。 ● CEPTの適用
 CEPT協定の条件を満たす品目は、 (1) 関税率を計画的に引き下げていく実施品 目、 (2) 適用を一定期間猶予する暫定除外品目、 (3) 適用に際しては別途協議す る除外 (センシティブ) 品目、 (4) 永久的に適用対象としない絶対除外品目の4 つに分類される。  CEPTの実施に際して、 メンバー各国はそれぞれ自国の各品目について経済的な 環境を勘案しながら、 対象品目を実施品目表 「IL」、 暫定除外品目表 「TEL」、 セ ンシティブ品目表 「SL」、 絶対除外品目表 「GEL」 に振り分けて記入し、 ASEAN事 務局を経由してAFTA理事会に提出する。 そして、 全ての品目表についてメンバー 国全員の合意の下に初めて有効となる。  全対象品目数5千余に対するこれら品目表の割合は、 94年開始時点で 「IL」 が 86%、 「GEL」 が2%、 残り12%が 「TEL」 と 「SL」 である。 ● 具体的な関税の引き下げ
 「IL」 に含まれる品目は、 メンバー国ごとに提出した引き下げ計画表に基づい て毎年関税率を引き下げる。 家畜および畜産物の 「IL」 を表6−1、 表6−2に 示した。 これは95年12月にはバンコクで開催された第5回ASEAN首脳会議 (実際は AFTA理事会) で合意された各国別引き下げ計画表のうち、 畜産物の部分を抜き出 したものである。 ブルネイとシンガポールはすでに関税率がゼロなので省略した。 表ー6ー1 非加工農産物の関税削減計画(96年1月以降) ──────────────────────────────────── 品 名   国 名 基本税率 ─────────────────────────────────── HS4桁 次の2桁 (%) ──────────────────────────────────── 生きた牛 10 タイ 0 (0102) 90 5 ───────────────────────────── ──────────────────────────── 10,90 マレーシア 6 ───────────────────────────── ──────────────────────────── 10,90 インドネシア 0 90 15 ──────────────────────────────────── 生きた豚 10 タイ 0 (0103) 91,92 10 ───────────────────────────── ──────────────────────────── 10 マレーシア 0 ───────────────────────────── ──────────────────────────── 10 インドネシア 0 91,92 15 ──────────────────────────────────── 生きた家畜 11,19,91,99 タイ 0 (0105) 11,19,91,99 20 ───────────────────────────── ──────────────────────────── 11,91 インドネシア 15 19,91,99 0 ────────────────────────────────────   牛 肉 10,20,(30) タイ 45(30) (0201,0202) ────────────────────────────        10,20,30 マレーシア 20 ──────────────────────────── 10,30 インドネシア 25 20 25 ──────────────────────────────────── 豚 肉 全部 タイ 60 (0203) ──────────────────────────── 11,12,21 インドネシア 25 11,22,29 25 ────────────────────────────────────  くず肉 全部 タイ 30 (0206) ──────────────────────────── 10,21,29 フィリピン 15 22 15 ──────────────────────────── 10,21,22,29,30 マレーシア 20 41,49,80,90 0 ──────────────────────────── ──────────────────────────── 10,21,22,29 インドネシア 25 80,90 25 90 25 ──────────────────────────────────── 家畜肉 10,21,23,42,43 タイ 45 (0207) 22 60 31,39,50 30 ──────────────────────────── 10,21,41 インドネシア 25 22,50 15 23,42,43 15 31,39 15 ──────────────────────────────────── 豚、鶏の脂肪 00 タイ 60 (0209) ──────────────────────────── 00 フィリピン 30 ──────────────────────────── 00 マレーシア 6 ────────────────────────────────────   加工肉 11,12,19,90 タイ 60 (0210) 20,90 45(30) ──────────────────────────── 20 フィリピン 15 ──────────────────────────── 20,(90) マレーシア 20(0,6) ──────────────────────────── 20,90 インドネシア 25 20 25 90 20 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── CEPTによる関税削減計画(単位:%) ──────────────────────────────────── 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 15 15 10 10 10 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 15 15 10 10 10 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 15 15 10 10 10 5 5 5 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── 10 10 10 5 5 5 5 5 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 10 10 10 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 15 15 15 10 10 10 5 5 15 15 10 10 10 3 3 3 ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── 10 10 10 5 5 5 5 5 25 25 20 20 15 15 10 5 15 15 15 10 10 5 5 5 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 25 25 20 20 15 15 10 5 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 5 5 5 5 5 5 5 5 15 15 10 10 5 5 5 5 10 10 5 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 20 20 10 10 10 3 3 3 ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── 15 15 15 10 10 10 5 5 ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── 10 10 10 5 5 5 5 5 25 25 20 20 15 15 10 5 10 10 10 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── (注)1.第7桁以降で表される品目の具体的内容は、国によって異なるため 省略した。 2.このため、第5、6桁が同じでも関税引き下げ計画が異なるものが ある。 3.本稿で取り上げた畜産物と関係のない品目の記載は省略した。 4.ブルネイとシンガポールの関税率は96年段階に置いて既に「ゼロ」 のため省略した。 表ー6ー2 非加工農産物の関税削減計画(96年1月以降) ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 品名 次の2桁 国名  基本税率 ────────────────────────────────   HS4桁   (%) ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ミルク、クリーム 10,20,30  タイ 40 ─────────────────────────── ─────────────────────────── (10,20),30 フィリピン (7.5)10 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10,20,30 マレーシア 0 ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────   粉乳、練乳 10,21,29 タイ 2.5 (0402) 91,99 22.5 ─────────────────────────── ─────────────────────────── (10),21,29 フィリピン (0)10 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10,21,29,99 マレーシア 0 91 2 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── バターミルクほか 10,90 タイ 30 (0403) 10,90 5 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10 フィリピン 35 10,90 20 90 30 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10,90 マレーシア 25 10 $8.82 90 0 ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────   ホエイ 10,90 タイ 30 (0404) 10,90 5 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 90 フィリピン 20 90 10 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10,(10),90 マレーシア 0(12) ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────  バターほか 00 タイ 2.5 (0405) 00 30(60) ─────────────────────────── ─────────────────────────── 00 フィリピン 0 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 00 マレーシア 2 00 0 ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────  チーズほか 10,20,30,40,90 タイ 30 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10,(20) フィリピン 10(30) 20,40 30 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10,20,30,40,90 マレーシア 5 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 10 インドネシア 0 20,30,40,90 15 ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────  殻付き卵 00 タイ 0 (0407) 00 15 00 30 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 00 フィリピン 21 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 00 インドネシア 0 00 15 ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────  加工卵 11,19 タイ 30 (0408) 91,99 15 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 11,(91) フィリピン 15(30) 19,99 15 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 11,19,91,99 マレーシア 5+$1 ─────────────────────────── ─────────────────────────── 11 インドネシア 20 19,99 25 91 20 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── CEPTによる関税削減計画(単位:%) ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 3 3 3 3 3 3 3 3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 20 20 15 15 10 10 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 3 3 3 3 3 3 3 3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 2 2 2 2 2 2 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 5 5 5 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 30 25 20 15 15 10 10 5 20 20 10 10 10 10 10 5 3 3 3 3 3 3 3 3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 23 21 20.16 17.16 14.16 11.16 8.16 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 5 5 5 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 10 10 10 10 5 5 5 5 3 3 3 3 3 3 3 3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 3 3 3 3 3 3 3 3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 2 2 2 2 2 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 3 3 3 3 3 3 3 3 20 20 10 10 10 10 10 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 5 5 5 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 5 5 5 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 10 10 5 5 5 5 5 5 25 25 20 20 15 15 10 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 20 20 20 15 15 10 10 5 ──────────────────────────────────── ─────────────────────────────────── 0 0 0 0 0 0 0 0 10 10 10 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 25 25 20 20 15 15 10 5 10 10 5 5 5 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 3 3 3 3 3 3 3 3 15 15 10 10 10 3 3 3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 2 2 2 2 2 2 2 2 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 20 20 20 15 15 10 10 5 25 25 20 20 15 15 10 5 15 15 15 10 10 5 5 5 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── (注)記載方式は表ー6ー1と同じ  「IL」 は2つのグループに分けられている。 第4回首脳会議で特に早く関税引 き下げを達成すべきだとして合意された15産品グループを 「ファーストストラッ ク (FT)」 品目といい、 農産物関連では、 植物油、 肥料、 ゴム製品、 皮革製品が 含まれる。 「ノーマルトラック (NT)」 品目は、 それ以外の品目である。 これらの 関税率を0〜5%にする目標年限は、 当初は2008年であったが、 昨年9月の ASEAN経済閣僚会議で2003年に繰り上げることが決定された。 ブルネイからは 「さらに早めて2000年に」 という提案があり、 シンガポールも賛成したが、 12月 の第5回首脳会議では合意に至らなかった。  FT産品の引き下げは、 94年の関税率が20%を超える産品では2000年までに、 20 %以下の産品は1998年までに、 関税率を0〜5%にする。 また、 NT産品は、 同様 に20%を超える産品については98年1月1日までに20%以下にし、 2003年までに は0〜5%に引き下げる。 さらに、 20%以下の産品は2000年までに0〜5%に引 き下げることがそれぞれ決定されている。 ● 適用除外表について
 CEPT協定を推進する上での大きな問題の1つは、 未加工農産物の適用除外の取 り扱いである。 CEPTには3種類の適用除外表があることはすでに述べた。 昨年9 月のASEAN経済閣僚会議では、 「TEL」 に含まれる全ての産品を、 各国とも96年か ら2000年にかけて各年均等な割合でILに移行させることが合意されており、 未加 工農産物も例外ではない。 ただし、 具体的にどの国がどの品目を 「TEL」 に含め るかは未だ公表されておらず、 センシティブ品目と併せてさらに若干の曲折が予 想される。 表−7と表−8に記載したのは、 95年9月の経済閣僚会議に提出され た 「TEL」 と 「SL」 のうち畜産に関連する品目だけを抜き出したものである。 表ー7暫定適用除外表(畜産物関連) (未確定、95年9月時点のもの) ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── インドネシア マレーシア ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 0105(生きた家畜) 0207(家畜肉) 11,19,99 10,22,23,31,42,43 0106(生きた動物) 0210(塩漬け、乾燥、薫製肉) 00 11,12,19 0401(ミルク、クリーム) 0403(バターミルク、ヨーグルト) 10,20,30 10 0404(ホエイ) 10,90 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── フィリピン ──────────────────────────────────── 0102(生きた牛) 90 0104(生きた山羊、羊) 10,20 0105(生きた家畜) 19,99 0201(冷蔵牛肉) 10,20,30 0202(冷凍牛肉) 10,20,30 0204(山羊、羊の肉) 10,21,22,23,30,41 42,43,50 0206(食用くず肉) 49,80,90 0207(家畜肉) 10,22,23,31,39,43 0210(塩漬け、乾燥、薫製肉) 90 ──────────────────────────────────── (資料)「List of Unprocessed Agricultural Products」 ASEAN Secretariat, September, 1995 (注) 6桁(4桁+2桁)に含まれる全ての品目が暫定適用除外であること を意味しない。 第7桁以降の3桁で各国独自に規定される品目について適用除外とな る場合が多い。 表ー8 センシティブ/適用除外品目表(畜産物関連) (未確定、95年9月時点のもの) ──────────────────────────────────── マレーシア フィリピン ──────────────────────────────────── 0103(生きた豚) 0103(生きた豚) 91,92 91,92 0105(生きた家畜) 0105(生きた家畜) 11,19,91,99 1,19,91,99 0203(豚肉) 0203(豚肉) 11,12,19,21,22,29 11,12,19,21,22,29 0207(家畜肉) 0206(食用くず肉) 10,21,39,41,50 30,41 0210(塩漬け、乾燥、薫製肉) 0207(家畜肉) 11,12,19 10,21,39,41,42,50 0401(ミルク、クリーム) 0210(塩漬け、乾燥、薫製肉) 10,20,30 11,12,19 0403(バターミルク、ヨーグルト) 10 0404 (ホエイ) 10,90 0407(殻付き卵) 00 ───────────────────────────────────── ─────────────────────────────────── (資料)「List of Unprocessed Agricultural Products」 ASEAN Secretariat, September, 1995 (注)1. 適用除外表は、9月段階でブルネイ、インドネシア、タイからも提出さ      れているが、畜産物関連の記載はない。 2. 6桁に含まれる全ての品目が暫定適用除外でることを意味しない。 第7桁以降の3桁で各国独自に規定される品目について適用除外となる 場合が多い。  センシティブ品目に関しては特別扱いとすることで合意されている。 すなわち、 達成目標年は2010年で、 目標税率も0〜5%ではなく、 さらに高い水準となる可 能性が高い。 ただし、 GATTのマラケシュ協定税率よりは低い税率となる見込みで ある。 このセンシティブ品目の取り扱いをめぐっては、 CEPT引き下げが具体化し てくるにしたがってメンバー国間の思惑の違いが表面化してきており、 これにつ いては次項で述べる。  GELは当該国における治安や公衆道徳の維持、 国民や動植物の生存と芸術的、 歴史的あるいは考古学的な価値を保護するために望ましくない品目についてCEPT の適用を除外するものである。 ● 適用除外に関する最近の動き  昨年12月にバンコクで開催されたAFTA理事会や経済閣僚会議は、 インドネシア が 「IL」 に含まれていた米や砂糖など15品目を 「SL」 に含めるよう強く求めたこ とから紛糾した。 結局、 「TEL」 にインドネシアのための特別枠を設けて、 この15 品目を入れることで決着が図られた。 この特別枠は、 2003年に改めて 「IL」 に含 めるか適用除外を継続するかを別途協議するというものであり、 いわば解決の先 送りである。 さらに、 インドネシアを特別扱いしたことで先例を作ったことにな り、 マレーシアやフィリピンも同様な扱いを期待しているとも伝えられる。 フィ リピンは米の取り扱いを依然として決定していないし、 マレーシアもパイナップ ルを 「SL」 に追加したほか、 木材とタバコを 「TEL」 から 「SL」 に組み替えてい る。 今年3月にはインドネシアの商業経済局長が、 「2010年をセンシティブ品目 の関税引き下げ期限とすることをインドネシアは認め (閣議決定し) ていない」 と発言している。 このほかに、 東南アジア最大の農産物輸出国であるタイは、 第 5回首脳会議の議長国であった立場上、 これまでCEPT協定の推進役に回ってきた。 「SL」 品目は7つだけであり、 「TEL」 品目はない。 しかし、 交渉がこじれた場合 には、 対抗上さらに適用除外品目を増やす可能性があることは、 昨年末の交渉で 証明済みである。  このような一連の動きは、 これまでシンガポールやブルネイが推進役となって きたCEPT協定の推進が、 ここにきて未加工農産物という 「主要畜産国」 の抱える 問題で本格的な調整をしなければならない段階に至ったといえるだろう。  次回のAFTA理事会は、 4月下旬にシンガポールで開催される。 非公式ながら各 国経済閣僚も同時期にシンガポールを訪れることになっている。 未加工農産物の 取り扱いをめぐる結論が出せる舞台は整っているわけであるが、 この問題が議題 として取り上げられるかどうかが注目される。

畜産物とCEPT、 各国の保護措置


 表−6〜8を要約し、 各国の畜産物に対するCEPTの適用状況を示したのが表− 9である。 タイは、 全ての畜産物の輸入をすでに関税化しており、 予定では2003 年には全ての畜産物が域内貿易に関して0〜5%の税率に押さえられることにな る。  表ー9 畜産物に対する保護措置の概要(CEPT協定) ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 品目 HSコード タ  イ マレーシア ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 肥育素牛 0102. 90  5% 6% 子豚 0103. 91 5% SL と畜用豚 0103. 92 5% SL 初生ヒナ(種鶏) 0105. 11 0% SL 初生ヒナ 0105. 11 0% SL 食鳥 0105. 91 15% SL ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 牛肉 0201, 0202 25% 0% 豚肉 0203. 11〜22 25% SL 牛くず肉 0206. 10〜29 25% 0% 豚くず肉 0206. 30 25% 0% 鶏肉 0207. 10, 41 25% SL 加工肉 0210. 11 25% 牛肉0%,豚肉TEL ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 乳製品 0401〜0406 25%が多い 0%が基本 選択的にSL ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 種卵 0407 0% SL 食卵 0407 25% SL 加工卵 0408 10%〜25% 2% ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 品目 HSコード フィリピン   インドネシア ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 肥育素牛 0102. 90 3% 0% 子豚 0103. 91 SL 15% と畜用豚 0103. 92 SL 15% 初生ヒナ(種鶏) 0105. 11 3% TEL 初生ヒナ 0105. 11 SL 15% 食鳥 0105. 91 SL 15% ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 牛肉 0201, 0202 TEL 10% 豚肉 0203. 11〜22 SL 10〜25% 牛くず肉 0206. 10〜29 15% 10% 豚くず肉 0206. 30 TEL 鶏肉 0207. 10, 41 SL 25% 加工肉 0210. 11 牛肉0%,豚肉SL 10〜25% ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 乳製品 0401〜0406 3% が多い TELを含む 未定が多い ─────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 種卵 0407 20% 0% 食卵 0407 20% 15% 加工卵 0408 3〜15% 20〜25% ──────────────────────────────────── ─────────────────────────────────── (注)1.「TEL」暫定除外表に、「SL」はセンシティブ表に含まれることを意味    する。 2.関税率(%)は96年の値 マレーシアはやや特異である。 ある生産者団体の会長が語ったところによれば、 「マレーシアの民間企業は豚肉と鶏肉・鶏卵にしか参入しない」 そうである。 生 産コストが高く輸入品と競合できないのがその理由で、 「儲からないものはやら ない。 そのようなものは政府がやっている」 と明確であった。 政府の方もその点 は論理明快で、 国内生産をすると決めた品目 (豚と鶏) に関しては、 センシティ ブ品目に羅列している。 一方で、 肥育素牛、 牛肉、 乳製品はすでにゼロに近い関 税率としている。  フィリピンは、 乳製品だけを低い関税率に設定し、 他の畜産物は軒並みセンシ ティブか暫定除外品目としている。 インドネシアは関税化品目が多いが、 振興に 力を入れている酪農関連は、 暫定除外かセンシティブとする可能性が高い。

おわりに


 東南アジアが、 鶏肉・鶏卵と豚肉以外は輸出余力を持たないこと、 それとても 飼料原料の制約があり大きな拡大は見込めないことを述べた。 そして、 今後とも 対日供給が増加する可能性のある品目として鶏肉以外には加工品や調製品であろ うことを指摘した。 その東南アジアで、 ほとんどの産品を対象とした貿易関税の 引き下げ計画 (CEPT協定) が進展中である。  CEPT協定は、 一見、 日本とはほとんど関係がないように見える。 ところが、 東 南アジアに展開している外国企業 (日系企業も含む) にとっては、 関税率の引き 下げは市場の拡大を意味する。 それも、 2003年までの各年の予定税率が事前に明 らかとなっている。 40%ルールは、 60%を域外から調達しても良いことを意味す る。 域外からの原料調達は、 工業製品を生産する企業は当然のこと、 畜産物につ いても、 加工品などについては大いに拡大の可能性があるのではないか。  さらに、 畜産の生産拡大は同時に関連資材の需要の増大も意味する。 シンガポ ールには既に多くの欧米の畜産関係企業の事務所が開設されている。 日本の畜産 物生産量と東南アジアのそれを比較する (表−1) と、 東南アジアの生産量は確 かに少ない。 しかしながら、 日本と異なり、 畜産物の生産も需要も大幅に拡大し 続けている地域であるため、 このような市場も着実に拡大しているはずである。


参考資料:AFTA Reader 1, 2, 3 ASEAN Secretariate
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