畜産業の歩むべき道は穀物節約型の経営 (中国)



 中国共産党中央政治局候補員、 温中央書記処書記は、 先頃、 畜産現場の視察を

行なった際、 (昨年9月の) 中央委員会全国会議で打ち出された、 農業、 農村経

済発展の目標実現に関して、 「畜産業の発展は重要で、 その発展は、 国の現状に

鑑み、 穀物節約型の道を歩むべきである」、 と指摘した。 

● 飼料資源を十分に活用することの重要性


 温書記は、 昨年12月、 河北省の三河市、 玉田市、 遵化市などの畜産業の生産状 況を視察し、 現地の幹部、 農民と、 畜産業発展の方向付けに関して座談会を持っ た。 その際、 同書記は、 (1) 三河市が作物の茎などによる牛の飼育に力を入れて いること、 (2) 玉田市が確固とした畜産業向けのサービス体系を打ち立てている こと、 (3) 遵化市が先進的な飼育技術の普及を行っていることを高く評価した。  また、 穀物生産を重視すると同時に、 畜産業の発展をも重視する必要があると 述べるとともに、 消費者の需要を満たし、 生活レベルを向上させ、 また、 農業の 近代化を促進する上で、 各種飼料資源を十分に活用する穀物節約型の畜産業を発 展させることがぜひとも必要であり、 それが、 農村経済の新たな発展のポイント なのである、 と指摘している。

● 中国の現状に即した穀物節約型畜産


 また、 同書記は、 中国の国情に鑑み、 畜産業は (将来にわたっても) 穀物節約 型の道を歩むべきであると強調した。 さらに、 (1) 全体的にみて中国は、 人口の 多さに比べて可耕地が少ないという矛盾を抱えているので、 長期的に穀物の供給 は不足気味の状況にある。 (2) 畜産業発展の最大の障害は、 飼料、 とりわけ穀物 飼料の不足である。 (3) 飼料穀物に限りがある中で、 畜産業を更に発展させるた めには、 非穀物飼料を開発すること、 穀物節約型の畜産業の発展に力を入れるこ とこそ、 問題解決の鍵なのである。 (4) 中国には、 非穀物飼料資源、 とりわけ作 物の茎などの資源が非常に豊富にあり、 これを科学的、 合理的に活用することで、 畜産業を発展させられる可能性は大いにある、 と指摘している。 こうしたことか ら、 温書記は、 穀物節約型畜産業の発展を重要な発展方針とし、 長期的に実施し て行くことが重要であると結論づけている。

● 地域の実情にあった総合的振興策も重要

 また、 温秘書は、 畜産業の発展に当たっては、 (1) その地域にある飼料資源を 活用した飼料を開発し、 それにふさわしいものを飼育すること、 (2) 中核となる 企業を育成して、 その企業を中心として各種の大規模飼育業及び畜産物の加工業 を行わせ、 農業、 工業、 商業を一体化して発展させること、 (3) 飼料工業の発展 に力を入れ、 飼料供給構造を調整して作物の茎などの飼料の普及をはかること、 (4) 技術的サービスを充実させ、 品種改良、 防疫、 科学的飼育方法といった、 先 進的な実用的技術を普及させること、 が必要であると指摘した。 (肉禽蛋信息 96年3月5日付け)
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